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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成24年3月号》
離婚事件についてA

【初めに】
  皆さんこんにちは。
 弁護士の堀繁造です。
 前回,離婚事件を受忍する際のことについてご説明してきました。
 今回は,離婚調停の申立についてご説明いたします。協議離婚できない場合には,すぐに離婚訴訟を提起するのではなく,まず調停を申立てなければなりません。
 これを調停前置といいます。

【調停申立の準備】
 離婚事件を受任して調停を申立てるために,まず,依頼者にいくつかの書類を準備していただくこととなります。
 絶対に必要なものが,夫婦の戸籍全部事項証明書です。
 これは最低限申立書に添付する必要があります。
 次に,相手方配偶者が厚生年金に加入していて,年金分割を求める場合には,年金分割に関する情報通知書を添付します。
 これは,社会保険事務所に行って発行手続してもらう必要があります。
 申請から発行までに大体2週間くらいかかるようです。
 それから,財産分与を求める場合には,夫婦の資産に関する資料を添付します。
 例えば,預金通帳,生命保険契約書,自動車車検証などのコピー,不動産登記全部事項証明書などです。
 未成年の子がいる場合には,親権者を定める必要がありますので,どちらが親権者となるか申立書に記載します。
 そして,依頼者本人が親権者となる場合には,相手方配偶者に対し養育費の請求をすることができますので,養育費を請求する場合には,相手方の収入が分かる資料(給与明細書,源泉徴収票など)を添付します。
 離婚の理由が相手方配偶者の不貞行為や暴力であるような場合には,その証拠を添付することもあります。
 例えば,不貞関係を窺わせるメールや写真,診断書などです。
 これらの資料が揃ったところで,更に依頼者と打合せを行い,調停申立書を作成します。
 申立書には離婚を決意するに至った理由,離婚原因,どちらが親権者としてふさわしいか,求める財産分与の内容,慰謝料を請求する場合には慰謝料の発生原因などをまとめて記載します。

【調停の申立】
 資料が揃い調停申立書が完成しましたら,家庭裁判所に調停の申立を行います。
 申立書には手数料である収入印紙と呼出状などの郵送に必要な郵便切手を添付します。
 収入印紙額は1200円です。
 郵便切手は裁判所によって異なりますが,福岡家庭裁判所の場合800円です。
 申立を行う管轄裁判所は,相手方配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所です。
 同居している場合などは問題となりませんが,別居して他県に引っ越している場合などは遠方でやっかいとなることもあります。
 家庭裁判所が調停申立書を事件として受理しますと,事件番号が付されます。
 その後,調停の第1回期日が裁判所と打合せのうえ定められ,相手方配偶者に調停期日の呼出状が郵送されます。こうして離婚調停が始まります。

【最後に】
 離婚調停については,これに付随して慰謝料や財産分与の保全手続や生活費を払わない相手方配偶者に対する婚姻費用の分担調停などもあります。
 これらの手続については,依頼する弁護士とよく相談してください。
 次回は,離婚調停の流れについてご説明いたします。

回答者 弁護士 堀 繁造
堀法律事務所
弁護士 堀 繁造
福岡市中央区大名2-11-13古河大名ビル4F
TEL092-718-0029 FAX092-714-6881
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