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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成24年11月号》
売買契約書の作成について 2

【はじめに】
 今回は、「売買契約」の条項の中でも、トラブルが多い「瑕疵担保」の問題と契約条項について説明をしたいと思います。

【瑕疵担保責任とは?】
 瑕疵担保責任など、日常会話で使うことはありませんが、売買契約では不可欠な考え方です。
 瑕疵担保責任とは、簡単には「売買の目的物に欠陥等があった場合に、買主が、売主に対し、売主の過失を要件としないで代金減額請求権・損害賠償請求権・契約解除権を有する」というものです。
 一般的な損害賠償請求としては、「過失」が要求される場合がほとんどですが、売主に「過失」が無くとも請求が出来るという点がポイントです。例えば、購入した商品に欠陥があることが判明した場合、買主は売主に過失がなくとも、瑕疵担保責任を請求することができます。
 このように瑕疵担保責任は買主保護の制度と言えますが、瑕疵担保責任に関しては、民法(他に商法、住宅の品質確保の促進に関する法律、宅建業法等)に条文がありますので、何らの合意をしなければ、民法等により解釈されることになります。
 そこで、売主サイドとしては、瑕疵担保責任が生じないようにする、あるいは制限するような契約を締結することが考えられます。※ただし、宅建業法、消費者契約法の関係で、瑕疵担保責任を免れる契約条項が無効となる場合がありますので、その点は注意が必要です。

【瑕疵担保責任に関する条項について】
(1)売主の負担を免除する条項
 端的に、「本売買契約に関し、売主は瑕疵担保責任を負わないものとする」といった条項が考えられます。
 先月号の末尾に記載した「古民家を再築する材料とするために古い家を現状のままで売る」という場合には、このような条項が適切だと考えます。また、壊れていることを前提に中古品を売買する場合にも、この条項が適切です。
(2)金額を制限する条項
 瑕疵担保責任による責任は負うが、売買代金の一定額に制限するような条項「売主は本売買契約の目的物に瑕疵が認められた場合、支払済みの売買代金の範囲のみの責任を負う」が考えられます。
 その他、大量に生産している商品であれば、瑕疵があった場合に損害賠償請求は認めないが、同種商品との交換に応じる、といった旨の条項も考えられます。
(3)瑕疵担保責任を追及できる期間を制限する条項
 瑕疵担保責任を追及できる期間については、民法、商法に定められていますが、さらに短い期間に限ることが考えられます。また、この場合、合意期間内に請求がなされたのか紛争を避けるために、「請求の通知は書面による」といった条項とセットとすることが考えられます。

【買主の立場では・・】
 今回は売主側の説明が中心となりましたが、買主としても後々、瑕疵担保責任が追及できないということがないように、十分に確認をすべき事項です。
 買主としては商品に問題があることのリスクを把握できれば、瑕疵担保責任を制限してもいいと思いますが、そうではないのであれば、商品の現状をできるだけ十分に確認することとあわせて、瑕疵担保責任がどのように制限されるのか確認することが必要です。

【最後に】
 売主にとって瑕疵担保責任を制限する意味はご理解いただけたと思いますが、このような制限を定めたとしても「売主が知っている欠陥を隠して買主に売り、瑕疵担保責任を契約で逃れようとする」場合には、これらの条項は適用されないとお考えください。このような悪質な場合には、瑕疵担保責任はもちろん、債務不履行、不法行為としての損害賠償請求は避けられません。
 契約書で保護されるのは、くれぐれも誠実な取引であることが前提です。売主はトラブルを避けるためには、契約条項はもちろんですが、商品について十分な説明をすることが重要なことは言うまでもありません。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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