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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成25年1月号》
売買契約書の作成について 4

【はじめに】
 今回は、売買契約の中でも「代金の支払い」「損害賠償」について説明をしたいと思います。

【代金の支払いについて】
 売買契約では、代金を定めることが不可欠です。その一方で、代金の支払い方法について定めていない契約書は散見されます。
 民法では、売買契約における代金の支払い時期は引渡しと同時、支払場所は目的物と引き換え、あるいは売主に持参することが建前です。
 しかし、契約書を定めるような売買の場合、商品の引渡と代金の支払いが同時ということのほうが少ないのではないでしょうか。このような場合には、売買代金をいつ、どこで、どのような方法で支払うのかを決めておくことが必要です。
 支払時期、場所に関する契約書の条項については難しくありません。取引当事者の力関係によって支払い日が決まるのでしょうが、「平成25年1月10日まで」「契約締結後○日以内」「納品後○日以内」、支払い方法については「○○銀行○○支店の甲が指定する口座に支払う」といった定め方が考えられます。
 (1)代金後払いの場合
 納品後に代金を受領する契約であれば、日付を定めることは不可欠です。
 買主にとっては有利な契約ではありますが、納品された商品に問題があった場合の扱いは気をつけたいところです。具体的には、「納品後1か月後に支払い」という場合、不良品が見つかったらどうするのか定めておく必要があります。法的には不良品の納品であっても納品と言えるか、ということになります。不良品がある場合には、支払を拒絶できるという条項を定めることが考えられます。
 逆に売主にとっては代金回収リスクが生じます。このリスクを小さくするためには、例えば、一定の保証金を提供してもらう、あるいは代表者を保証人とするということが考えられます。
 そのほか、相手方の商品を購入しており債権があるということであれば「相殺」により解決が得られるかもしれません。
 (2)代金先払いの場合
 代金先払いの場合には、売主には何らリスクはありません。
 買主にとっては本当に商品が納品されるのかというリスクがあります。商品が納品されない場合には、違約金としてペナルティを定めることが考えられます。ただし、商品をまともに納品できない事業者は往々にして資金難の状況にあり、回収が困難となる可能性が高いのが現実です。こうなると、実態がわからない事業者に先払いで取引すること自体、覚悟が必要ということになりそうです。

【解除と損害賠償】
 売買契約の解除は、相手方が履行遅滞となった場合に、相手方に相当期間を定めて催告をし、それでも履行がなされなかった場合に解除できます。しかし、契約違反をしている相手に対し、催告をする意味もないことがあります。そのような場合にそなえて無催告解除ができるように「本契約に違反したときには、相手方は催告を要せず、直ちに本契約を解除できる」旨、定めることが考えられます。
 また、損害賠償についても、あらかじめ違約金を定めることも考えられます。「納品しない場合には、金○○円を違約金とする」といった定めがあれば、支払うべき場合には上限が分りますし、逆にそこそこ高額な違約金を定めれば、相手方に誠実な履行を促す効果も期待できます。

【おわりに】
 売買契約を4回にわたり説明しましたが、実際の契約はまだまだ注意点が盛りだくさんです。
 実際の契約書作成の際には、いろいろと考えるときりがありませんが、ご自身のリスクを検討し、契約書が不十分なことで後悔しないよう備えたいものです。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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