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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成25年4月号》
和解契約について

【はじめに】
 これまで、売買、貸金、保証といった契約を説明してきました。
 今回は、トラブル後の清算のための契約である和解契約を説明します。和解書、示談書、合意書、と書面のタイトルは違っても、内容としては同じものです。ここでは、和解契約として説明します。

【和解契約とは】
 しっかりした売買契約をつくって取引を継続していたとしても、何らかのトラブルが生じることはあります。そして、双方に責任がある場合、あるいは取引先との関係を考慮することもあり、すべて契約書どおりに解決するとは限りません。
 また、トラブルは取引先との関係だけとは限りません。見知らぬ人と交通事故にあうかもしれません。
 このような事件が生じた後に、話合いが成立した証として、示談書(和解書、合意書)を作成することになります。
 和解書の作成の目的は、トラブルの終局的解決です。記載内容があいまいであったり、和解書の記載内容が不適切なために、さらなるトラブルを招かないように注意が必要です。

【和解書(示談書)の記載例】
 一般の契約書と同じように、当事者(誰が「甲」、誰が「乙」、利害関係人はいないのか)をはっきりさせます。
 そして、何に関する示談書なのかを明確に記載します。交通事故であれば、事故証明書に記載の事故発生日時、場所、当事者、車両番号等を記載することで、交通事故の特定ができます。契約上のトラブルであれば、日付、取引内容等により、示談の対象を特定することができます。たとえば、「平成25年3月1日から31日に乙が甲に納品した商品(型番○○―○○)の一部不具合、納期の遅れに関し」といった記載となります。
 和解条項としては、「乙は甲に対し、本件の解決金として、金○○円を平成25年4月1日限り支払う。振込手数料は乙の負担にする」「乙が甲に納品した商品(型番○○―○○)は、乙に返品する。返品に要する送料は乙の負担とする。」といったように、和解の骨子となる条項を定めます。
 そして、和解契約の重要な点は、同じ内容について再度の紛争を招かないことです。そこで、和解契約の末尾には、必ず「甲と乙は、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務が無いことを確認する」あるいは「甲と乙は、乙の納品遅れに関し、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを確認する」といった記載をすることになります。これを清算条項といいます。
 なお、この二つの清算条項では、意味がまったく異なります。2番目に記載した清算条項であれば、「商品の納期遅れ」以外のトラブル、たとえば不具合、瑕疵といった問題については、和解の対象外と解される余地があります。つまり、和解後も不具合を理由とする請求はなされる可能性(請求できる可能性)があります。
 金銭を支払う側の立場であり、全てのトラブルを解消する目的であれば、清算条項に限定を加えるべきではありません。同様に交通事故の示談書でも「物損に関し」「医療費に関し」といった制限が付されたものなのか、終局的な解決なのか、明確にする必要があります。

【最後に】
 和解契約は、紛争を終了させる契約です。その契約が新たな紛争を招かないように留意したいものです。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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