弁護士の視点で

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成25年9月号》
ソフトウェア開発委託契約について(1)

【はじめに】
 最近は、パソコンでいろいろな情報が入手できますし、ショッピングをすることが当たり前のようになりました。
 さらに、スマートフォンでも、ショッピングができるだけではなく、ナビシステムとして使うことができるなど、本当に便利です。私も、もはやスマートフォンが手放せなくなってしまいました。
 スマートフォンのタッチパネルでの直観的な操作などは、操作性に感動させられますが、いったいこの端末の中で何がどのように動いているのかは、システムに理解のない私には、まったく想像もできません。
 このような端末が世の中に登場したのは、わずか数年前だと思いますから、この分野はそれだけ短期間に急成長を遂げたのだと思います。
 一方で、法律や契約書は、急成長を遂げた分野についてどうしても弱い部分があります。法律が作られるのは、社会で様々な問題が生じた後になりますし、契約書も具体的な紛争を想定して、その予防のために条項を策定しますので、契約書の内容では不完全なこともあります。
 もちろん、このような契約に対しても、すでに多数の契約書の雛形、注意点に関する解説はなされています。特に、JISA(一般社団法人情報サービス産業協会)のホームページに掲載されている「ソフトウェア開発委託基本モデル契約」、あるいは、経済産業省のホームページに掲載されている「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」がリリースしている「情報システム・モデル取引・契約書」などは、無料で利用ができますし、信頼ができる内容ですので、参考にされることをお勧めします。

【システム開発契約に関する契約書の雛形を利用する際の注意点】
 前項で紹介した契約書の解説、雛形は立派なものであり、簡単に入手できますが、その意味を理解し、活用することは意外と難しいものです。
 まず、これらの雛形を活用しようとすると、そのボリュームが普段見慣れている契約書よりも相当に分厚いことが分かります。そこで、適度な分量にしたくなるのですが、どこを削っていいのか、なかなか悩ましいところです。
 基本的には、この契約書で何を明らかにしたいか、という点を十分に検討し、その部分を残すことに注目し、ボリュームダウンをすべきです。
 例えば、発注者側としては、開発期間が重要なのであれば、開発期間に関する定め、それに対する遅延のペナルティは明確にしておくべきです。逆に、受注側のシステム開発業者としては、期間をあまりに重視されても、開発過程における予期せぬ事情の発生により開発が遅れることもあると思います。特に、発注者の事情により、開発期間が変更となった場合にまでペナルティを課せられるのは厳しすぎます。そこで、開発工程を策定する前提条件を明記することを求めることも必要となってくると思われます。
 このように、雛形をそのまま使用すると不便なこともありますし、チェックが不十分であれば、気が付かないうちに不利な条項が無条件で組み込まれている可能性があります。

【次回はシステム開発契約特有の問題を】
 システム開発契約書特有の問題については、次回以降、別途検討したいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
                     前へ<<               >>次へ
弁護士の視点でリストに戻る