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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成25年12月号》
ソフトウェア開発委託契約について(4)瑕疵担保責任について

今回は前回の記事の続きとなりますので、3項からスタートします。
【瑕疵とバグ、不具合の程度】
 瑕疵があるということであれば、@修補請求、A損害賠償請求、B解除・代金返還請求をなしうることを前回記載しました。
 また、ソフトウェアにバグがあった場合に、瑕疵となりうることを指摘しました。
 ここで、簡単に修正できるようなバグがあった場合であっても、契約解除や損害賠償請求となるのか、という疑問が生じます。
 やはり常識的に考えて、あまりに軽微なバグしか生じていないのに、解除や損害賠償を認めることには違和感があります。
 裁判においても、バグが瑕疵といえるためには、損害賠償請求や解除とすることが相当という程度のバグに限る傾向があるようです。
 ということで、前回の@ソフトウェアに簡単に修正できるバグがあった、という場合には、瑕疵にならないケースも多いと考えます。
 一方で、Bのシステムに欠陥がありセキュリティホールとなりうる、という場合には、重大な問題と言えそうです。@の例よりも瑕疵と評価すべき場合は多いでしょう。
 ただし、欠陥が発覚し、即座に対応をした結果、被害が無かったというような場合にまで、瑕疵があったといえるかというと、そうはならないと考えます。

【瑕疵担保責任に関する損害】
 たとえば、システムに不具合がある場合に、そのシステムがどうにも使えないという場合には、開発費用は損害となるでしょうし、そのシステムのために導入したコンピュータ等の機材の費用も損害となります。あるいは、そのシステムの不具合のために、3日間営業ができなかった場合には、その営業ができなかったことによる損害も請求しうることになります。
 また、セキュリティホールとなりえ、実際にウイルスに感染したとなると、更なる損害が生じる可能性があります。
 請求する側の注意点としては、システムの不具合が発覚して、何らの対策もとらずに2日経過し、その後、ベンダーに連絡をし、不具合を解消してもらった結果、3日間の損害が生じたと主張しても、損害はせいぜい1日分に減らされると思います(過失相殺)。
 一方で、システム開発者側にとっては、害意はなく作成したソフトについて、どこまでも損害が拡大する可能性があります。
 そこで、あらかじめ契約上、損害賠償額の上限を定めておくことが考えられます。このような合意も、あまりにも非常識な上限額でなければ、有効な規程となります。

【契約条項の例】
 前項のとおり、システム開発者側にとって、瑕疵担保責任は大きなリスクがあります。そこで、その責任を制限する観点から、損害賠償額の上限、請求期間の制限を加えることが考えられます。
 以下、契約条項の例です。
(瑕疵担保責任) 第○条 要件定義書での決定事項との不一致又は論理的誤り、バグ(以下本条において「瑕疵」という。)が発見された場合、甲は乙に対して当該瑕疵の修正を請求することができ、乙は、当該瑕疵を修正するものとする。但し、乙がかかる修正責任を負うのは、納品後○ヶ月以内に甲から請求がなされた場合に限るものとする。
2. 第1項の規定は、瑕疵が甲の提供した資料等又は甲の与えた指示によって生じたときは適用しない。但し、乙がその資料等又は指示が不適当であることを知りながら告げなかったときはこの限りでない。
3. 甲が乙に対し、瑕疵担保責任により損害賠償を請求する場合には、納品から○か月以内に書面にて請求をすることとし、その損害賠償額の上限を本契約に基づく支払い済みの代金を上限とする。
以上

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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