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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成26年2月号》
ソフトウェア開発委託契約について(5)著作権について2

今回は、ソフトウェア開発における著作権の扱いについて説明をしたいと思います。
【前回のまとめ】
前回は著作権について頭出しをしました。ソフト開発業者であるD社にとっては、全ての著作権を発注者に移転することで、以下の問題が生じうることを指摘しました。「D社にとっては、次に、似たようなソフトを開発する際に、私のために新規に開発、作成したプログラムを使いまわすことは著作権に反する可能性があります。
 そこで、D社としては、このような場合にそなえて、今後も使う可能性のある汎用性のあるプログラムの著作権は移転しないような契約書を作成しなければなりません。」

【著作権を移転させない事項】
ソフト開発業者にとっては、一般的に、今後の汎用プログラムの活用を考えると、著作権を移転させないほうがよい項目は、以下の2点となりそうです。
  @もともと受託者又は第三者が従前から保有していた著作権、汎用可能なプログラム
  A新規に開発したが、他の案件でも使用する可能性がある汎用可能なプログラム
この@の対策については、契約条項において、「成果物の著作権は、納品時に移転する。ただし、受託者又は第三者が従前から保有していた著作権および汎用可能なプログラムの著作権は除く」といった条項とすることが考えられます。

【「著作権法27条および28条の権利を含む」とは?】
プログラムに関する契約書を見ると、「著作権法27条および28条の権利を含む」といった記載を見ることがあります。これはどういった意味があるのでしょうか?
 これが、上記の「A新規に開発したが、他の案件でも使用する可能性がある汎用可能なプログラム」と関連することになります。
 著作権法27条に定められているのが「翻案」に関する権利、28条に定められているのが「二次利用」に関する権利です。一応、条文を確認してみましょう。

(翻訳権、翻案権等)
 第27条  著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、
        映画化し、その他翻案する権利を専有する。
(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利)
 第28条  二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、
        この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一
        の種類の権利を専有する。
 この27条、28条に関する権利が開発者側に留保されていれば、開発者は、他の案件における翻案が可能となり(27条の翻案権)、新たに作成されたプログラム等の権利行使ができることになります(28条の二次利用の権利)。
 そこで、結論的には、著作権法27条、28条の権利は移転させないほうが、プログラム開発業者にとっては有利だと言えます。

【「著作権法27条および28条の権利」を開発者に留保し、移転させないためには?】
著作権法61条2項には、以下の条文があります。
 第61条2項 著作権を譲渡する契約において、第二十七条又は第二十八条に規定する
         権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、
         譲渡した者に留保されたものと推定する。
 この条文が意味するのは、契約書に、「著作権法27条および28条の権利を含む」と記載されていなければ、権利者に留保したと推定されるのですから、開発者に権利を残すには「著作権法27条および28条の権利を含む」と記載しなければいいのです。
 ただし、厳密には、あくまでも「推定」なので、他の条文とあわせ、権利を移転したと解釈できる場合には、権利移転すると解釈されることになります。

【さいごに】
以上のとおり、著作権に関する契約条項は、見慣れないものも多いですが、一つ一つ理解すれば、それほど複雑ではありません。
 次回は著作権の移転時期、その他の問題点を指摘したいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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