今回は、ソフトウェア開発におけるレベニューシェア型の契約について説明をしたいと思います。
【レベニューシェア契約とは】
明確な定義があるのか不明ですが、ソフトウェア開発において、一般的に「レベニューシェア契約」といわれているものは、以下の枠組みだと思います。
・無償もしくは相当に安価でソフトを開発する
・開発者は、その後の保守を請け負う
・ユーザーが、そのソフトによって得た収益を開発者にも合意したパーセンテージで報酬を支払う
このような契約であれば、ソフト開発に初期投資の負担ができない中小企業であっても、自社の通信販売サイトを開発できることになります。
また、開発者側も長期に保守業務を受託する、あるいは売上金に応じた報酬金を得ることができるので、結果的には開発費を回収できることになります。
【レベニューシェア契約で注意すべき点】
これまで解説したソフトウェア開発に関する注意点(著作権、開発の内容の明確化、瑕疵担保責任)は全て妥当しますが、それに加え、レベニューシェア契約では、以下の点は最低限確認が必要です。
(1)契約期間
無償でソフトを開発したのは長期に報酬が入ることを期待してのことです。
3年で契約解除が一方的にできるような条項だと資金回収ができない可能性があります。最低契約期間は短すぎないように、また、一方的な解除ができないように制限をする必要があります。
(2)報酬
レベニューシェア契約では、同じ10パーセントの報酬と合意した場合でも、売上げの10パーセントとする場合もあれば利益の10パーセントとする場合もあります。
利益とする場合には、売上げから控除される経費は何か、ということも明確にする必要があります。
たとえば、保守費用は別途とするのか、絶対に発生するサーバー費用などの実費は誰が負担するのか、といった細目まで定める必要があります。
また、期間を定めるなどし、月額報酬額の最低額を定める契約形式も考えられます。
レベニューシェア契約では、この報酬の条件を明確化しなければ、お金のことだけに紛争の火種となりかねません。せっかく利益が出ている場合であっても、後々、当事者間の関係が悪化しかねないので、十分に話し合いをし、明確な合意を定めておくべきです。
(3)著作権
レベニューシェア契約の場合、著作権の移転時期を納品時とすることは慎重であるべきです。
報酬がいつまでいくら入るのか分かりませんので、報酬金がある程度入金されるまでは安易に著作権を移転すべきではないと考えます。
【さいごに】
ソフトウェア開発に関する解説も以上で終了としたいと思います。
今回でちょうど契約に関する連載も節目の20回となりますので、次回からは契約以外の内容としたいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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