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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成26年6月号》
民事訴訟手続きについてA相手の居場所が不明だったら~公示送達について〜

 前回は、民事裁判のスタートとして、相手の住所調査について説明しました。
今回は、住民票住所地に相手がいなかった場合の手続きを説明します。
【住民票住所地について】
 多くの方は、住民票住所地に居住されていることがほとんどですが、そうではない場合もあります。
 考えてみると、こどもが学校に行く、選挙の際の郵便が届く以外には、住民票住所地と自宅住所が一致していないからといって、実生活での不自由はさほど無いかもしれません。
 裁判をする場合も、相手の住民票住所地までは確認できたものの、その住所を被告の住所として裁判を提起したところ、裁判所から「住所地に誰も住んでいないようですので、住所の調査をお願いします」と言われることがあります。
 この被告は、住民票住所地には、住んでいないと思われます。
 こうなると、このままでは、裁判はスタートしないことになります。

【就業場所の調査】
 住民票住所地以外に被告が実際に住んでいることが分かれば、その住所を裁判所に報告することで送達ができることもありえます。
 それでも難しい場合には、被告の就業先が判明すれば、就業先を訴状の送付先とすることができます。
 ただ、就業先を調べることは、通常は困難な場合が多いと思われます。

【就業先もわからない場合】
 住所も就業先もどうにも分からない場合には、最後の手段として「公示送達」という手段があります。
 最後の手段というのは、住所の調査をし、現地の写真をとって生活の実態が無いこと、マンションであれば管理組合の聞き取りをする、アパートであれば管理会社に聞き取りをするなどして、その場所の居住が不明であり、どうにも居場所が判明しない場合に、どうにもできない場合に限られる手段となります。
 というのは、公示送達というのは、裁判所に「A宛呼出状 裁判は○月○日とする」といった具合の張り紙がなされ(これが「公示」)、2週間を経過すると、被告に、送達ができたことになってしまうのです。
 このようにして、どうにも被告の居場所が分からない場合にも裁判を開始することはできますが、相手の調査等、それなりの労力は必要ということになります。

【逆に身に覚えの無い判決がある場合】
 裁判所から郵便が届かない限りは判決が出されることはありません。ところが、公示送達によって、知らない間に判決を取得される可能性はあります。
 もし身に覚えの無い判決であって、あるいは公示送達制度を悪用し、住所が分かっているにもかかわらず分からない不利をして判決を取得されたような場合に、その内容に不服があれば放置することはできません。上訴等によって公示送達の効力を争うか、その判決取得を理由に逆に損害賠償請求を起こす等の対応を検討することになります。
 身に覚えのない判決があるという連絡を受けた方、新手の詐欺かもしれませんし、本当に判決があるかもしれません。放置せずに、弁護士に相談をされることをお勧めします。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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