弁護士の視点で

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成26年11月号》
民事訴訟手続きについてF判決と和解について

1 判決
 前回までに民事裁判における証人尋問の説明をいたしました。証人尋問が終わると、いよいよ判決となります。
 一定の証拠に基づいて判断がなされますし、弁護士は、おおよその判決の予測をします。
 予測といっても、経験に基づくものであり、当方が有利な部分も不利な部分も考え、総合的にどのような判決となるか、考えることになります。
 しかしながら、この予測、想定が狂うことがあります。思わぬ大勝利もあれば、思わぬ敗訴もあります。ここで重要なのは、判決の場合、100対0の判決となりうるということです。
 弁護士にとって判決の見通しを立てる能力は不可欠なものです。予測が外れるということは、これは私の弁護士としての経験不足、腕の無さかもしれません。ただ、実際には、地方裁判所、高等裁判所、最高裁判所と判決が異なることもあるのであって、最初の判決が正しいとは限りません。つまり、完全に判決内容を予測することは困難となります。

2 和解
 判決にリスクがあることで、和解という話が出てきます。
 和解の例を紹介します。1000万円の請求をしている場合に、原告に有利な証拠もあるし、被告に有利な証拠もある。判決となれば、1000万円を回収できるかもしれないが、敗訴するとゼロとなってしまう。このような場合に、例えば、500万円で和解をすることが考えられます。判決となる場合の勝訴の見通し、あるいは回収時期の見通し、自社の資金繰りの必要性などから、500万円だけでも早期回収できるほうがメリットがある、ということがありえます。
 このように、黒か白か、という事件の場合には、一定のリスク回避機能、あるいは債権の早期回収機能といったことが期待できます。
 次の例は、判決では確実に勝てるが、和解をする例です。例えば、賃貸マンションを所有しているが、入居者が賃料を支払わない。そこで契約解除をし、部屋の明渡しと未払いの賃料を請求する裁判をします。確実に勝訴判決が得られますが、勝訴判決を得ても、相手方は家賃を滞納しているような方なので、未払い賃料を回収するだけの資力があるとは思えません。さらに、荷物を置いて出て行った場合には、明け渡しの強制執行の手続き、残された動産の処分手続きが必要となります。これらの手続きを続けるには、相応の費用と時間がかかります。また、この費用は手出ししなければなりません。そこで、賃貸人としては、たとえ賃料が回収できないとしても、2ヶ月後であったとしても、円満に荷物を片付けて退去してもらいたいのです。このため、円満な退去をすることで和解が成立することがあります。
 民事訴訟ではおそらく半数以上が和解による解決となっていると思います。和解には色々な計算が働きますが、和解によって、よりよい解決となることもありえます。こうして、判決、和解によって裁判が一段落終了することになります。

3 次回は
 次回は私の取り扱いが比較的多い労働事件における和解について触れたいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
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