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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年7月号》
強制執行D 差押え禁止債権とは?
  質 問

【質問内容】
 お金を貸した相手に裁判をしたところ、相手方は裁判にも出てきませんでした。欠席判決で勝訴判決を得ましたが、噂では、相手は事業に失敗し、会社員として働いているようです。給料の差押ができないでしょうか?生活保護費の場合はどうでしょうか?

  回 答

差押禁止財産(債権)について
 法律上、差押が禁止されている債権があります。また、給料についても無制限に差し押さえることはできません。これらの規程は、主に差押を受ける側の生活面、生存権に配慮したものです。
 まず、差押禁止債権について民事執行法152条は次のように定めます。

第百五十二条  次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。
  一  債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
  二  給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
 2  退職手当及びその性質を有する給与に係る債権については、その給付の四分の三に相当する部分は、差し押さえてはならない。
 3  債権者が前条第一項各号に掲げる義務に係る金銭債権(金銭の支払を目的とする債権をいう。以下同じ。)を請求する場合における前二項の規定の適用については、前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。

 まず、民事執行法152条1項1号に定められている債権としては、生命保険会社との私的年金契約による給付といったものが考えられます。これは実際には、さほど多くないと思います。
 そして、同項2号には、いわゆる給料などについて定められています。これについては、4分の3については差押ができませんが、残りの4分の1については差押が可能ということになります。同様に、退職金についても、同2項により、4分の1のみが差し押さえ可能となります。
 なお、この4分の1といった基準額ですが、いわゆる「額面金額」か「手取り金額」かについては議論もあるようですが、一般に手取り金額を基準にされているようです。
 そして、養育費などの扶養義務に関する定期金債権の場合には、この「4分の3」は「2分の1」となります。
 このように給料の差押は一定の範囲で可能となります。また、養育費の場合には、相手方の生活の維持と、扶養を受ける側の生活の維持について配慮をしています。

 次に生活保護費ですが、恩給、国民年金などと同様に、個別の法律によって差押禁止とされています。
 相手方が生活保護の場合には、差押をすることは困難とお考えください。
 債権回収一般に言えるのですが、債権回収の成功率は相手方の資力に比例します。この意味で貸付の際の与信調査は極めて重要といえます。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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