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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年8月号》
強制執行E 給料の差押えを受けました
  質 問

【質問内容】
 お金を借りていたところ、給料を差押えされてしまいました。私の手取り給料20万円の4分の1である5万円が毎月債権者に支払われるようです。これではローンを支払うと生活できません。どうにかならないでしょうか?

  回 答

(1)差押の範囲の変更
 差押ができる範囲は、差押を受ける側の生活の面も配慮し、給料であれば4分の3に相当する部分は差し押さえてはならない、とされています(民事執行法152条)。
 差押をする債権者の側からすれば、給料であっても、その全額を返済にまわさせたいところでしょうが、債務者にも生活があります。
 債務者としては、手取り20万円で生活が困難な場合もありえます。そのような場合には、差押の範囲を縮減する手続き(差押禁止範囲の拡張))をとることが考えられます。
 民事執行法153条1項は、「執行裁判所は、申立てにより、債務者及び債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部若しくは一部を取り消し、又は前条の規定により差し押さえてはならない債権の部分について差押命令を発することができる。」と定めています。

(2)具体的な手続き
 上記の条文のとおり、債務者は、裁判所に対し、「債務者の生活の状況」等、差押を受けることによる弊害を書面として、申立書を提出する必要があります。
 具体的には、世帯全員の収入、資産、家計表といった資料、生活状況を説明する陳述書を提出することになります。例えば、病気の家族がおり、仕事ができない、医療費を要するといった事情も記載することになります。
 そうすると、一方で、債権者の事情も考慮するために、債権者の事情も確認することになります。
 債権者にもっと厳しい事情がある場合、たとえば、事故で仕事ができなくなっており、そのための加害者に対する不法行為債権による差押え、といったような場合には、債務者も多少の苦しみを負うことは公平の点から考慮されることになります。
 このような双方の事情を確認した上で、裁判所は、差押禁止の範囲を変更するか判断し、場合によっては、差押の範囲の縮減が実現されることになります。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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