弁護士の視点で

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年9月号》
強制執行F 差押後の回収、差押の競合
  質 問

【質問内容】
 A社に対する債権回収のために、A社の債権(取引先であるB社への売掛金)の差押えをしました。
 ところが、債権額全額の回収ができませんでした。どうも、他社も差押をしたようで、差押えが競合した、ということでした。どういうことでしょうか?

  回 答

(1)差押の申立てから配当までのフロー
 差押えの申立てをしても、すぐに現金が振り込まれるわけではありません。まずは、差押から入金までの簡単なフローを紹介します。以下、概要での説明となりますので、やや不正確な記載にもなりますが、ご了承ください。
 まず、本件の場合には、差押命令が裁判所からB社に送付されます。この場合のB社を第三債務者といいます。
 そして、同じく債務者であるA社に対しても送付されます。
 その後、1週間が経過すると、債権者はB社に直接支払うよう請求することが出来ます。こうして、B社から債権者に支払いがなされるというのが、最も一般的な債権回収のフローです。

(2)B社(第三債務者)が支払いをしないケース
 これに対し、B社が支払いをしないパターンは色々とありえます。
 例えば、そもそもA社に対して債権がない、というような場合には、当然、B社は支払いをしてくれません。
 また、今回の質問のように、他に債権者が同じ債権を差押えしている、あるいは、仮差押をしている、といった場合には、第三債務者は「供託」という手続きをしなければなりません。
 この場合には、配当手続きとなります。債権者は配当要求をし、配当を待つことになります。配当になる場合には、優先される債権がなければ、債権額に応じて配当されることになります。
 配当手続きとなった場合、他に債権者がいるのですが、誰がどれだけの債権を有しているのかは配当表を見るまでは分かりません。思わぬ債権者の登場により、配当額が少ないということも起こりえます。
 なお、他の債権者の配当額に納得がいかない場合には、配当異議といった手続きが必要となりますが、専門的ですし、あらかじめの準備が必要になりますので、差押債権が配当の手続きになりそうな場合には、その時点で弁護士に相談されることをお勧めします。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

                     前へ<<               >>次へ
弁護士の視点でリストに戻る