競売のフロー、期間、費用の概要を説明します。
(1)相手方の不動産から債権回収をする場合のフロー
すでに判決を取得している場合には、相手方の預金といった差押等の手続きが可能です。さらに、不動産を有しているのであれば、その不動産から債権回収をすることが考えられます。
この不動産による回収の場合には、まず、相手方の不動産に対して差押をし、競売申立をすることになります。
そして、競売の結果、売却できた場合には、その売却金から配当金として、債権回収が実現できることになります。
(2)競売により債権回収に要する期間
多くのホームページにも記載がありますが、競売申立から実際の債権回収には相当な期間を要します。早くても数ヶ月は要します。
競売申立がなされると、まずは、現況調査がなされます。この調査を経て、不動産鑑定士などにより物件の査定がなされます。
この査定を踏まえて、いわゆる競売物件として公開がなされ、最低入札価格が明らかになります。
その後、入札期間を経て、競売により、最高落札価額で入札した方が実際に競売代金を入金することで、ようやく競売手続きが終了します。
そして、その競売代金による配当表が作成され、配当が実際に行なわれることになります。
この期間は、概ね10ヶ月程度を要することも多々ありますし、私が経験した例では、落札後、代金納付がなされなかったということで、再度の入札となり、競売開始から配当まで1年を超えた例もあります。
(3)競売に要する費用
競売申立は必ずしも弁護士に委任をする必要はありませんが、弁護士に依頼をすれば、その分、弁護士費用は必要です。一般的には、10万円から20万円程度でしょうが、物件の額によっては、より高額な弁護士費用を要する場合もあります。
その他、上記の不動産鑑定士による調査費用を負担しなければならず、この金額は不動産の規模にもよりますが、30万円〜といった額が必要になります。なお、この金額は、競売申立の時点で、裁判所に納付する必要がありますが、競売によって配当となった場合には、その費用は競売費用として戻ってくることにはなります。
ただ、債権を回収するためとはいえ、あらかじめ少なくとも数十万円は裁判所に出しておく必要がありますので、その覚悟は必要ということになります。
今回は、不動産を競売することによる債権回収のフローを紹介しました。次回は、預金、不動産以外の例を紹介したいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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