(1)売掛金の差押えを考える
相手方の預金や不動産が分からなくても、取引先が分かれば、その売掛金を回収できる可能性があります。
たとえば、Aさんが個人事業主であれば、その商品の売り掛け先であるB社に対する売掛金債権を差し押さえることが考えられます。
この場合の差押は、Aさんの売り掛け先であるB社を第三債務者といい、第三債務者に対し、Aさんではなく、こちらに払うようにすることで債権回収を実現することになります。
裁判所からB社に通知が届けば、以後は、B社はAさんに支払いをしなければなりません。
(2)給料を差し押さえる
相手方が事業主ではなく、給料をもらっているような方であれば、その給料を差し押さえることも考えられます。
この場合も勤務先であるC社に対し、給料を差し押さえることを通知し、給料から回収を実現することになります。
ただし、給料については、差押ができる範囲が限られているので、実際の回収額は限られることとなります。
また、相手方が大企業や公務員であれば、回収の見込みは大きいのですが、そうではない場合には、相手方が勤務先を辞めてしまえば回収できなくなるというデメリットもあります。
なお、養育費等の場合には、この給料差押の可能な範囲が拡大されますので、養育費の差押の場合には、給与差押がよく使われることになります。
(3)具体的な手続きは
今回の場合には、裁判所での和解調書があります。そして、和解金が支払われなかった事実が分かる書類を準備の上、裁判所に債権申立の申立をすることになります。そうすると、裁判所は上記のB社あるいは相手の勤務先に通知が送付され、第三債務者は相手方に支払わず、債権回収が可能となります。
回答者 弁護士 小川 剛
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