(1)会社財産の差押は可能か
Aは会社の金を自由に使っているようですし、相手方は自営業者であり、会社と個人名義の資産は混在している状況です。乗っている高級車も会社名義です。このような状況で、債権を有する側からすれば、A個人の金はないが、B会社には金があるというのは許せません。
ただ、執行手続きを進めるに際して、名義が違う場合には、執行手続きを受け付けてもらうことは困難です。
たとえば、通称と本名が異なるというような事情であれば、執行の可能性もあるでしょうが、法人と個人の名義の違いの壁は大きなものがあります。
(2)株式への執行を検討する
会社の財産に対して直接執行することはできませんが、Aが持っているB株式に執行する可能性があります。
B株式を差し押さえ、その評価により売却をすることで最終的な配当を得ることになります。
これが上場企業であれば手続きは難しくありません。実際に問題となるのは、いわゆる閉鎖会社の場合となります。
ただ、この手続きはあまり多用されていない印象です。この手続きの難しさは、株式を差し押さえられた相手方Aは、Bの株式の価値を高めるようなことはしないでしょうし、B社によほどの価値が無いと実効性は難しいかもしれません。
また、株式の評価をする必要がありますが、B社やAが協力するはずがありません。
このように、株式の差押はなかなか実効性が高くないという問題点があります。
しかし、AにとってB株式の差押は、相当なダメージにはなるはずです。もし、財産があるのであれば、事実上の弁済をする可能性もあります。
このような効果を狙って株式を差し押さえることは有意かもしれません。
かなり特殊な手続きとなりますので、もし、このような事例で悩んでいる方は弁護士に相談をされることをお勧めします。
回答者 弁護士 小川 剛
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