(1)なぜ書類を残すのか?
弁護士であれば、「一筆もらっておいてください」とアドバイスをすることが多々ありますが、なぜ書類に残すのでしょうか。端的には、お金を渡したところも現金であれば目撃者もいないでしょうし、「もらっていない」「知らない」と言われた場合、後日、その証拠を作成することは難しいところです。
もし裁判をするのであれば、その証拠は不可欠ですし、後日、返還交渉をする場合であっても、証拠があるのと、何も証拠がないのでは交渉力も大きく変わります。
(2)どのような書類を残すのが適切か?
可能であれば、借用書のひな形でも持参し、それに記載していただくのが理想です。それが難しいのであれば、名前、金額、借りたということ、お金を受け取ったことだけでも自筆で書面化してください。なお、自筆であることは明らかとしたいのですが、押印については、実印で無い限りは、あまり重要なことではありません。
○簡易な書面の書式例
「○○様
私、小川剛は、本日、金10万円を借りましたので、必ずお返しします」
また、金額が高額であれば、通常は借用書を作成することが通常ですので、この場合には、借用書を作成したいところです。高額な場合には、弁済期を定めるのが通常です。最も簡単な内容としては、以下のような書式例があります。
○借用書の例
「借 用 書
貸主A(以下、「甲」という。)と借主B(以下、「乙」という。)は、本日、以下のとおり金銭消費貸借を締結した。
1 甲は、乙に対し、金100万円を本日、乙の口座に振り込む方法により(現金を交付する方法により)貸し付けた。
2 本貸金の利息は年○%とする。
3 本貸金の弁済期は平成28年○月○日とし、元利金合計額を、以下に記載の甲の口座に振り込む方法により支払う。
上記の金銭消費貸借契約を証するため、本契約書2通を作成し、各当事者署名押印の上、各1通を保持する。
平成 年 月 日
貸主(甲)住所
氏名 印
借主(乙)住所
氏名 印
このほか、返済を分割とする場合、分割とする場合、分割金の支払いを遅延した場合の扱い、連帯保証人を定める場合、担保を設定する場合といったことも考えられます。
より複雑な契約は次回以降にご紹介したいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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