弁護士の視点で

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年4月号》
書式C債務承認、弁済契約書を作成する
  質 問

【質問内容】
 A社との間の売掛金、貸金債務について、なかなか返済をしてくれません。返すつもりもあるようですし、資金繰りの問題だと思いますが、このまま放置しておくと、時効になるかもしれないと聞きました。 このような場合には、債務承認をしてもらうとよいという説明を聞いたことがあります。どのような書類を作成すればよいでしょうか。

  回 答

  1 債務承認とは
 時効という法律用語を聞かれたことがあるかと思います。例えば、売買代金や貸金も長らく放置をされると時効にかかってしまうことがあります。しかも、取引の内容によって時効成立までの期間は異なりますが、わずか1年あるいは2年での時効という場合もありえるのです。  このため、時効を中断させる必要が生じます。民法147条には、時効中断事由として、@請求、A差押え、仮差押え又は仮処分、B承認、が列挙されています。このうち、請求とは、提訴等の裁判上の請求を予定するものであり(内容証明郵便を発送して請求をする、というような行為は、催告とされ、6ヶ月以内に裁判上の請求をしなければ時効の中断の効果まではありません)。また、いきなり差押え等をすることもできないので、このB承認によることになります。  債務承認の例としては、債務の弁済をしてもらうという手段もよく使われます。これはこれでよいのですが、例のように債権が複数存在する場合など、何に対する支払いなのか明確ではない場合があります。  そこで、債務承認に関する合意書を作成することが考えられるのです。  また、債務を承認してもらうだけでも構いませんが、どうせなら、その債務の弁済についても、明らかにしてもらいたいところです。このように債務承認・弁済契約書を作成する必要が生じます。  そのほか、社員の不祥事の例などでも、このような債務承認を求める例は少なくないと思いますが、どうような書式で対応できると思います。

2 書式
 以下のような書式を参考としてください。参考書式は連帯保証人を1名付した場合です。
              債務承認・弁済契約書

債権者A(以下、「甲」という。)、債務者B(以下、「乙」という。)、Bの代表取締役である連帯保証人C(以下、「丙」という。)との間で、次のとおり、債務の承認並びに債務弁済契約を締結する。

1(債務の承認)
 乙は、甲に対し、平成○年○月○日から同年*月*日までの、甲が乙に委託した商品の販売代金未収金等の債務総額として金*******円、および、平成○年○月○日に、甲が乙に貸し付けた金****円の合計金*******円の支払い義務があることを承認する。

2(債務弁済の方法)
 乙は甲に対し、前項の代金を次のとおり分割して支払う。
@平成○年○月から平成○年○月まで、各月末日限り 金**万円
A平成○年○月末日限り 金**万円
(2)代金の支払い方法は、甲が乙に対し指定する口座への送金による。

3(期限の利益の喪失)
 以下の場合に、乙は期限の利益を当然に喪失し、乙は1項にて承認した債務の額から既払い金を控除した残額のすべてを、甲に対し直ちに支払う。  @乙が前項の支払いを怠り、その額が金**万円以上に達した場合
 A乙が破産、民事再生の手続きをし、あるいはその手続きを弁護士等に委任した場合
 B乙が、甲に対し、その経営状況等に関し、虚偽の事実を報告した場合

4(遅延損害金)
 乙が期限の利益を失った場合、乙は甲に対し、前項に定める残金ほか、期限の利益を喪失した日の翌日から年14.6%の割合による遅延損害金を支払う。

5(連帯保証)
 丙は本契約に基づく乙の債務について、乙と連帯してその債務を履行する。

  この契約成立の証として、この契約書を3通作成し、甲乙丙が各1通を保有する。

平成**年*月**日

  (甲)(乙)(丙)各記名押印

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

                     前へ<<               >>次へ
弁護士の視点でリストに戻る