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そもそも、耐震性に関する国の基準は、大きな地震が発生するために段階的に強度を上げているので、建築当時には、耐震基準を充たしていたが、現在の基準だと耐震上の問題があるという場合もありえるかもしれません。
また、耐震基準を満たしているといっても、家が壊れないという保証があるわけではありません。耐震基準を満たしていても家が壊れることはありえます。このような場合には、耐震偽装ではありません。
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耐震偽装であるというためには、建築当時の基準において、法律上の基準であった耐震構造を備えてないということが必要です。
例えば、@設計書面において耐震性を満たさないにも関わらず、設計書から偽装されている場合、A設計書はちゃんと法令上の基準を満たしているけれども、手抜き工事により、必要な柱が無いなど、工事業者により耐震偽装がなされている場合、が有り得ると思います。このうち、Aの場合には、設計上の問題は無いので、設計をした方の責任追及は難しそうです。
では、@の場合には、どのような法的責任追及が可能でしょうか?
まず、建物建築を契約した場合、契約相手は誰だったか確認をしてください。契約相手はハウスメーカーであり、建築士とは直接の契約関係には無いかもしれません。また、マンション等では販売者と工事を実際に行った施工者は異なるかもしれません。
いずれにせよ、契約をした相手方には、債務不履行責任あるいは瑕疵担保責任を追及できることになります。
そして、直接には契約をしていない建築士に対しても、偽装図面を作成していたのであれば、不法行為に基づく損害賠償請求が可能ですし、建築士法違反として刑事事件となる可能性もありえます。
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そのほか、耐震住宅等といった名称で販売していた住宅が壊れてしまった、ということもあるかもしれません。
耐震性を売りにしていたのに壊れてしまったのでは納得が出来ないと思います。この場合には、耐震住宅には何らかの保証や保証の基準が定められている可能性が高いと思います。
契約書には、保証の範囲は建物のみで再築費用に限る、という場合もあるでしょうし、一般の保険会社ではなく、建築会社独自の補償システムであれば、その会社の支払い能力の問題もあるかもしれません。
どのような補償内容となるのかは、個別の契約書を確認しなければ分かりませんので、お近くの弁護士に契約書を提示して相談をされることをお勧めいたします。
回答者 弁護士 小川 剛
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