熊本へ向かう新幹線の車窓からは、市街地に近づくに連れて現在でも震災被害がはっきりと分かり、多くのビニールシートが目に入ります。
台風シーズンも到来する中、ビニールシートでのカバーだけでは風雨をしのげるのか心配なところです。このような点に目を付けて、屋根の修理として近づいてくる業者がいます。業者としてみれば、屋根のビニールシートが見えますので、営業先を見つけるのはたやすいことです。このようにして屋根の修理工事を依頼するのですが、中には、高額な代金を請求する業者がいるのも事実ですので、ご注意ください(もちろん、良心的な業者も多数いらっしゃいます)。これをブルーシート詐欺というそうです。
これを予防するには、信頼できる業者に依頼をするということがあげられますが、最近の相談では、知り合いの紹介だったのに高額な請求を受けた、という例も聞かれます。
やはり、作業を依頼する場合には、あらかじめ金額について書面で明らかにする、ということが肝要です。また、代金の支払いについても、全額先払いとするようなことはせずに、出来れば後払いとすることが望ましいです。
また、契約をする前に誰かに相談をする、金額、工事の妥当性について、ご意見をいただくということは、契約の前に冷静になれるので、是非、実行してほしいところです。
このような説明をすると、現地で見積りをした業者さんに申し訳ない、いまさら断れない、ということを言われる、心優しい方もいらっしゃいます。しかし、悪徳業者は、そういう心理につけこむのです。どうにも話をしにくいときには、契約をするときには家族に報告をしなければいけないと話をしてはどうでしょうか。あるいは、お一人の方でしたら、弁護士に相談しなければいけない、という話をしてはいかがでしょうか。
私の事務所でも高齢者、老人会での法律相談では、名刺を渡すようにし、何かあれば、電話をいただくように説明をしています。そのような電話がかかることはほとんどないのですが、悪徳商法の相手方は、だまそうとしていた人の家に弁護士の名刺があれば、少なからず警戒するはずです。できれば、お近くの弁護士と面識がある、という関係を持たれることをお勧めします。
また、実際に被害に会った場合には、速やかに消費生活センター、あるいは、お近くの弁護士までご相談ください。
このコラムを読まれる方は、このような被害にあうような年配の方ではないと思いますので、もし、まわりに、このような被害にあいそうな方がいる場合には、被害防止のためにも、お声かけをいただければ幸いです。
回答者 弁護士 小川 剛
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