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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年11月号》
クレーム対応1(示談書の作成)
  質 問

【質問内容】
 これまで半年の間、震災関係の基本的な事項についてコメントをしましたが、震災前の書式関連の解説に戻りたいと思います。
 当社はスーパーを経営しています。当社のA店の配送車輌が高速道路でパッシングをした上で、相手方の車輌を追い越したということで、クレームを言われています。事実ではあるようで、店長と当該運転手が電話で何度も謝罪をしたようですが、最終的に低額ながらも電話代と謝罪金を支払うということになったという報告がなされました。A店の店長から報告を受けましたが、当社としても、これ以上、紛争を長期化したくないので、金銭の支払いには応じますが、ちゃんと解決をして紛争が再開しないようにしたいのです。クレーム対応時の示談書の書式はどのようなものになりますか?

  回 答

(1) クレーム対応の基本的な考え方
 本件事実関係からすれば、当社にも非はありますし、謝罪をすべき事柄ではあるでしょうが、相手には具体的な損害も考えられず、法的な損害賠償責任が生じるような話ではありません。
 よって、金銭請求に対しては断固として拒否をし、しつこいクレームであれば、場合によっては、業務妨害として警察による対応が望ましい場合がほとんどです。
 ※この点の基本的な対応については、次月に検討したいと思います。
 ただ、本件では、クレームの際の電話代が生じているので、その名目で3000円を支払うということで話がまとまっているということでした。3000円であれば、会社の経営判断としてやむを得ないものがあるかもしれませんが、一応、示談書を作成することになりました。
(2) 示談書の書式
 重要な点は、何に関する事件だったのか、ということを明記し、これで一切の清算が終わったということを明らかにすることです。示談書のイメージは以下のとおりです。

           示談書
 ○○(以下、「甲」という。)と○○スーパー(以下、「乙」という。)及び同社従業員○○(以下、「丙」という。)は、平成28年10月19日午前8時30分頃、丙が乙の業務配送中、福岡都市高速西公園ランプ付近において、甲の運転する車輌を追い抜き運転した件について、以下のとおり示談する。
1 乙と丙は、本件について甲に不快な思いをさせたことについて謝罪し、再発防止に努めるものとする。
2 乙と丙は、連帯して、本件の解決金(甲に生じた慰謝料、損害金、電話代金など名目を問わず一切の損害に対する支払いを含む)として金3000円の支払い義務があることを認める。
3 乙と丙は、本示談の席上にて前項に記載の金3000円を甲に交付し、甲はこれを受領したことを確認する。
4 甲は、以後、乙の店舗に出入りせず、乙および丙の関係者にも電話、訪問など方法の如何を問わず接触しない。
5 甲、乙、丙は本件について、第三者に口外しない。
6 本示談成立によって、甲と乙及び丙との間には、一切の紛争が解決したものとし、互いに債権債務が無いことを確認する。

(3) 今回は3000円の支払いで済みましたので、問題は大きくならなかったようにも思えます。ただ、本件を例に、あるべき解決方法、企業の心構えについては、次回以降に検討したいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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