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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成28年12月号》
クレーム対応2(示談書の作成)
  質 問

【質問内容】
 当社はスーパーを経営しています。当社のA店の配送車輌が高速道路でパッシングをした上で、相手方の車輌を追い越したということで、クレームを言われています。事実ではあるようで、店長と当該運転手が電話で何度も謝罪をしたようですが、「誠意を見せろ」との発言が続き、電話が続いているようです。どのように対応すればよいのでしょうか?

  回 答

今回はクレーム対応の基本的な考え方と電話対応について、整理したいと思います。
1 クレーム対応の基本的な考え方
   今回の事例をもとにクレーム対応の基本を解説したいと思います。

(1)事例の分析
   今回のケースでは、以下のように事例を整理できます。
  @当方に落ち度があるのか、まったくのいいがかりか?
       →悩ましいですが、やや落ち度がある、と評価できる類型です。
  A金銭的損害は発生しているのか?
       →発生していない
  B相手の要求は何か?
       →金銭と思われる
  C相手方の情報はあるか?
       →不明、電話番号のみ把握
   以上からは、本来、金銭的被害が無いのであるから金銭を支払うのではなく、本来、謝罪をすれば足りる例のようです。

(2)事実確認1 電話対応
   相手方がどのような理由でクレームを言っているのか、最初になすべきことは、相手方の主張と事実関係の把握です。以下、よく受ける質問です。

 Q 長い電話になりそうなので、早く電話を切りたいのですが、よい方法はありませんか。

 相手方からクレームの電話を受けた場合、早く電話を切りたいと思うでしょうが、可能であれば、できるだけ長く話を聞くことにも意味がある場合も多いと考えています。長くても話を聞く理由は、相手方にとって話を聞くで、怒りの感情が無くなることもありえます。
 また、相手の主張を確認する、相手が主張する事実を把握するということが重要です。仮に、クレームの内容が変遷する、あるいは、事実経過が変遷するということであれば、それ自体が、相手の言い分の信用性を減殺するのです。
 本当のクレームであれば、相手の主張、事実主張は一貫するはずです。
 できるだけ細かく聴き取りをすることが重要です。あるいは、些細なことで2時間も電話をするということであれば、その事実だけでも、相手方の要求が相当ではないことの一つの間接事実になることもありえます。
 相手方がどのような理由でクレームを言っているのか、最初になすべきことは、相手方の主張と事実関係の把握です。以下、よく受ける質問です。

 Q クレームの電話は、相手に告げずに録音してもいいのでしょうか?

 相手方がどのような理由でクレームを言っているのか、最初になすべきことは、相手方の主張と事実関係の把握です。以下、よく受ける質問です。
 クレームの電話対応の際には、電話を録音することは必須です。顧客から、相手に黙って録音をしていいのか、という質問を受けることもありますが、それは問題ないでしょう。あくまでも自分宛の電話を録音しているのであって、通信傍受をするようなことではないからです。
 相手方がどのような理由でクレームを言っているのか、最初になすべきことは、相手方の主張と事実関係の把握です。以下、よく受ける質問です。

  Q 謝ることは避けるべきですか?

 相手方がどのような理由でクレームを言っているのか、最初になすべきことは、相手方の主張と事実関係の把握です。以下、よく受ける質問です。
 こちらに落ち度がなくとも、「申し訳ございません」と言うことに問題ありません。この質問は、謝罪することで「認めたこと」になるのではないか、ということを危惧してのことだと思いますが、「不快な思いをさせ、申し訳ございません」と言うことは、落ち度がなくとも、挨拶として自然なことです。
 例えば、裁判になって、相手は「申し訳ございませんと言い、非を認めていた」と主張されたとしても、そのようなことだけで非が認められるということはありません。やはり、どのような事実があったのか、その証拠こそが重要なのです。

Q 同じ担当者が電話対応できるとは限らないのですが、どうすべきでしょうか。

 電話が何度もかかってくる場合があります。この場合にも、できるだけ同じ担当者が対応すべきです。相手は担当者が変ると「前の担当者は謝罪をして金を払うという話をしたぞ。」あるいは「今度、お詫びに来ると言った話はどうなっているのか」と、唐突に分からない話をされることになります。このようなことを避けるためにも、できるだけ同じ担当者が対応をすべきです。
 もし、担当者が対応できないのであれば、「電話を折り返す」と伝え、対応はしないに限ります。仮に電話を切られないのであれば、「分かりかねます」と回答し続けることになります。
 なお、理想的には、担当者が対応できる時間をあらかじめ確保し、予定を共有しておくということも考えられると思います。

 今回は電話対応について解説しました。次回以降は、事実確認について、更に検討をしたいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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