弁護士の視点で

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成29年2月号》
クレーム対応4(事実を見極める 2)
  質 問

【質問内容】
 当社はスーパーを経営しています。当社の販売品である惣菜品を購入した顧客から、「半分食べたところで、変色した材料が入っているのに気がついた。妻はおなかが痛いといっている、俺も気持ち悪いものを見て嘔吐をした。変色した材料を見せられた慰謝料を支払え。誠意を見せなければ保険所に通報するし、ネットにも書き込む。」といった電話が入っています。顧客が言っていることは、大げさなところもあります。どのように対応すればよいのでしょうか?

  回 答

 おなかが痛いのは当該商品が原因か?
 気持ちが悪いものを見て嘔吐をしたといって慰謝料を請求してくるぐらいですから、その請求根拠は疑わしいものがあります。
 しかし、その請求を拒絶するには、具体的な裏づけが必要です。
 先に、請求根拠が無い場合の相手方への通知文案を紹介します。
 「当社は貴殿の申し入れを受け、直ちに保険所にも報告をし、その材料メーカーへの問い合わせを行なっております。その結果、ご指摘の変色については、紫のキャベツを食材として使用し、その混ざりが十分ではなかったことから生じたものと判明しました。また、食品に関する調査機関に調査を委託しましたが、腹痛の原因となるような何らかの原因菌は確認されておりません。以上のとおり、当社としては、変色は異常なものではなく、また、腹痛についても当社の商品が原因とは判断できないと判断するに至りました。
 当社としては、何らかの賠償をする予定はありませんので、今後、貴社の対応については、当社が本件について委任した弁護士を窓口とすることと致しましたので、以後、本件に関する更なるご連絡がございましたら、○○法律事務所 ○○弁護士(電話 +++−****)宛にご連絡をお願い致します。」
 このような文面であれば、相手方の請求はストップする可能性が高いですし、仮に紛争が継続しても、怒りの矛先は弁護士に向くことになると思います。弁護士はクレームを受けたとしても、淡々と「法的な因果関係が無いと判断せざるをえないので、最終的には裁判所で判断せざるをえない」と回答することになると思われます。

 話をもとに戻すと、このような通知文を発する文面を作成するためには、どのような事実調査をすべきか、明らかであると思います。まず、@保険所への報告、A材料メーカーへの問い合わせ、B作業過程の検証、C調査機関での調査、といった可能な限りの調査を尽くすべきだと考えます。
 できるだけの調査をすることで、客観的な事実を重ね、相手方への通知は説得力を増します。
 また、先ほどの文例は末尾に弁護士を登場させました。この文書を読まれた場合に、弁護士を窓口とすること(あるいは弁護士からの回答とする)に、効果を感じられる方も多いと思いますので、このようなクレーム対応に余計な費用をと思われるかもしれませんが、最後の文書だけでも弁護士を代理人とすることも考えられます。

 今回は、当方に落ち度が無い場合を検討しました。次回は、当方に落ち度がある例を検討していきたいと思います。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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