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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成29年3月号》
クレーム対応5(当社に落ち度がある 2)
  質 問

【質問内容】
 当社は美容室を経営しています。当社の顧客Aにヘヤカラーをしていたところ、わずかではありますが、従業員のミスで顧客Aの服とおでこ部分にヘヤカラーの黒い溶剤がついてしまいました。
 顧客Aには謝罪をし、クリーニング代を負担しましたが、おでこの部分にシミが出来たといわれています。言われてみると、シミができたようにも見えますが、今となっては、もともとシミがあったのかもしれません。
 また、顧客Aにはおでこがヒリヒリする、やけどのような気がすると言われました。
 謝罪はしているのですが、何度も「顔のシミは一生消えないがどうしてくれるのか」と言われていますが、要は慰謝料名目の金銭を求めているようです。どのように対応をすればよいでしょうか。

  回 答

 当方に落ち度があるが、話が大げさだと思われる場合の対応
 一般的に、何ら落ち度が無いにも関わらずクレームとなるような例はほとんどありません。
 実際には、何らかの落ち度がある場合がほとんどです。そして、それが大げさな話になっているに過ぎません。ただ、大げさな話だとバカにするような態度をとってしまうと、それを理由に紛争が大きくなるといったリスクもありますので、十分に注意が必要です。
 今回の件は当社の従業員のミスが原因です。この場合に、初期に対応すべきは、謝罪+皮膚科での受診です。健康被害の可能性がある場合には、とにかく初期に医師による診断を得るべきです。まずは医師により、健康被害が無いことを確認すべきです。この治療費は安心料と考え当方で負担せざるをえないでしょう。なお、顧客Aが病院に行かないということであれば、それを強制させる必要はありませんが、「本日の治療費は当方で負担するので、出来る限り病院で診察を受けてください」と説明すべきです。可能であれば、医院に同行し、その場で謝罪と医療費の支払いが出来ると理想的です。
 次にシミの点ですが、写真を残してもらうようにお願いしましょう。写真を定期的に残していれば、どのシミなのか分かりますし、後日紛争となった場合、あるいは保険会社が対応するような場合でも、どの程度の損害であるのか確認をすることができます。多くの場合には、色素が沈着するということは考えにくく、いずれ解決する問題となります。
 このように、医師による判断を基準に対応をすることにより過大請求を防ぐことが可能になります。
 おそらくはここまでの対応をすれば問題は大きくならないと考えます。あとは、慰謝料請求の問題です。もちろん、慰謝料を支払うことは必須ではありません。ただ、要求された場合に、どの程度の慰謝料であれば相当性があるのかは検討する必要があります。初回の通院しか無いような場合には、お気持ち程度の見舞金で足りると考えます。ただ、本格的な通院を要するような場合(怪我をさせてしまったような場合)には、慰謝料請求をうけるのもやむを得ないでしょう。
 この場合、参考になるのは、交通事故での裁判例の蓄積です。通院期間、後遺症の程度によって慰謝料の額の相場があります。この相場は弁護士に相談をされると概ね回答が得られると思います。
 以上を経て金銭を支払うのであれば、示談書を作成することになります。これでようやく解決となりそうです。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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