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A1 遺言書を正確に記載するために
遺言書には、一般的に「Aさんに、特定の財産を遺す」ということを目的とします。
そこで、まず、「誰に」対して、という点と、「どの財産を」という点を明確にしなければなりません。
「誰に」という点は、自分と遺贈の対象であるA氏の住民票、戸籍を準備することになります。せっかく晩年に内縁関係にあったAさんに財産を遺そうとしているにも関わらず、Aさんの名前を間違っては大問題です。
そして、「どの財産を」という点は、預金であれば通帳、不動産であれば不動産登記簿、会社の株式であれば、会社の登記簿、定款、有価証券であれば、その証券が必要になります。
財産の特定ができなければ、正確な遺言書の記載は困難です。
A2 紛争:遺留分を意識する
弁護士の立場で、遺言書の助言をしようとすると、上記の資料は最低限のものとなります。遺言書を作成しても「遺留分」の問題が生じる可能性があるからです。
遺留分とは、配偶者、子といった法定相続人に対し、最低限確保される相続割合のことです。単純な例でいえば、「全ての財産を長男に相続させる」と遺言書を作成したとします。その場合でも、二男の法定相続分が2分の1であれば、遺留分は4分の1となり、二男は長男に対し4分の1は自分に渡すように要求することができるのです。
遺言書作成で最も悩ましいのは、遺留分に関する対策となります。
作成した遺言書が遺留分を侵害するものであるか否かは、法定相続人が誰であるのかを確認し、さらに、相続財産の全体像が分からなければならないのです。
結果的に、遺言書を作成する場合には、Aさんに遺す財産のリストだけではなく、全ての財産のリスト(財産目録)は不可欠ですし、遺言書を作成される方の法定相続人が誰であるのかを確認するために、その方の生後から亡くなるまでの戸籍、法定相続人の戸籍が必須となってくるのです。
遺留分の対策として、長男には不動産、二男には預金とバランスよく遺すことができれば理想的ですが、遺された財産が分けにくいものである場合には、悩ましいことになります。
A3 費用について
遺言書の作成準備の一つとして、費用が気になる点だと思います。遺言書作成を弁護士に依頼し、公正証書を作成した場合にかかる費用のイメージは以下のとおりです。
主な費用は以下の項目に分けることができます。
(あ)弁護士費用
(い)戸籍、登記など取得費用
(う)公正証書作成のための公証役場の費用
このうち、遺産の額により金額が増加するのが(う)公正証書作成のための費用です。弁護士費用、戸籍、登記などの取得費用はさほど高くない例が多いと思います。
参考までに私の事務所の場合の費用の例は、http://t-o-law.com/personal/yuigon/ を御確認ください。
ただし、遺言書作成の場合には、遺言執行者に就任することになりますので、遺言執行者としての費用が生じることになりますので、ご注意ください。
次回は、今回登場した遺留分について少し検討をしたいと思います。
回答者 弁護士 小川 剛
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