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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成30年5月号》
賃貸借契約におけるトラブル2 催告後の対応について
  質 問

【質問内容】
 アパートの大家をしています。入居者Aは賃料も何度か遅れ、現在は5ヶ月分の賃料支払いが遅れた状況です。賃料を支払うように内容証明郵便を送付しました。今後、どのような対応をとるべきでしょうか?

  回 答

A1 内容証明郵便が到達したら

(1)無事に賃料が入金された場合
 前回、内容証明郵便で賃料を催告する例を記載しました。「仮に、支払が無い場合には、本書面到達後2週間の経過をもって本件賃貸借契約を解除致しますので、その旨、ご通知します」といった内容を記載し、その郵便がAに到着して、2週間が経過した状態です。
 この2週間以内に賃料が入金されれば、契約解除は難しいところです。ただ、このような入居者は賃料の遅れを再発する可能性があります。次回からは、数日でも入金が遅れた場合には、督促をするように、再度、内容証明郵便で入金が無い場合には解除する旨を通知すべきです。
 多くの賃貸借契約には、「度々賃料の支払が遅れ、催告を要する場合」を解除事由にしていると思われます。信頼関係を喪失するほどの賃料の遅れが重なっていることの証拠となりますので、内容証明郵便と入金履歴は保存するようにしてください。

(2)賃料が入金されない場合
 内容証明郵便のとおり賃貸借契約は解除となります。そこで、入居者に対し、退去を促すことになります。
 A氏と話をすることができるのであれば、任意に立ち退きを求めることになります。この際、連帯保証人がいれば、賃料不払いで大きな迷惑を受ける可能性がある連帯保証人にも協力を求めることが考えられます。
 交渉において決めることは、@退去日、A退去日における鍵の返却、B退去日において残置された動産類の所有権放棄、C原状回復費用の清算、D未払い金の支払い、E連帯保証人による連帯保証、です。
 賃借人、連帯保証人には、明渡し日に立ち会うことが望ましいところです。
 このときに、賃借人もしくは連帯保証人が未払い賃料を支払ってくれれば問題ないのですが、実際には、未払い賃料の清算が出来ない場合が多いと思います。無い方からお金を回収するのは極めて困難ですが、とにかく退去いただき、良質な賃貸人を入居させることに主眼を置くべきです。

(3)賃料の入金もない、任意の交渉にも応じない場合
 賃料の入金が無い場合には、かなりの割合で裁判による明渡しを求めるしかありません。
 裁判には費用と時間がかかります。このため、交渉で出てくれないか、と考えるところですが、この判断の遅れは結果的に、悪質な賃借人が居座る期間が長くなるだけです。
 速やかに提訴をすることをお勧めしています。

 なお、内容証明郵便すら受け取らない場合の対応、裁判での手続き、費用等は次回以降に説明をしたいと思います。

                                 以上

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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