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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和元年5月号》
賃貸借契約におけるトラブル14 賃貸借契約の解除理由A無断改築、用法違
  質 問

【質問内容】
居住用マンションを所有しています。現在、A氏に貸していたのですが、いろいろと改造をしているようです。
玄関から見ると、無断でドアの前に防犯カメラが設置されており、また、内部は3部屋のうち2部屋の間の壁を壊し、広い応接間としているようです。
よくわからない怪しい人物の出入りも多く、契約解除したいと考えています。

  回 答

賃貸借契約の解除について
前回説明したとおり、賃貸借契約の解除については、信頼関係の破壊が認められなければなりません。

(1)無断改築について
賃貸借契約では無断改築について禁止されていることが一般的です。
ただし、解除が認められるか否かは、無断改築の態様によります。
例えば、建築基準法に反するような工事、躯体にまで影響を及ぼす工事については、信頼関係の破壊といえる例が多いと思われます。
一方、小規模な工事であれば、原状回復をするということであれば、信頼関係の破壊とまではいえない例も多いと思います。
では、本件の「防犯カメラ」「内部壁を壊して広い応接として間取りを変更」している点はどうでしょうか。
このような改装内容であれば、組事務所として使用しているのではないかとの疑念があります。
仮に組事務所であるということになると、現在の賃貸借契約では暴力団排除条項が付されていると思いますので、解約が可能ということになります。
ただ、「防犯カメラ」の設置、「間取りの変更」というそれぞれの事実だけでは、信頼関係の破壊までは認められないケースは十分に考えられます。

(2)用法違反について
また、組事務所ではないとしても、不特定多数の人物が出入りしているということであれば、用法違反を問題とすることができそうです。
本件は居住用として賃貸しているのですから、事務所としての使用は認められていません。
ただし、ここでも「信頼関係の破壊」の問題が生じることになります。
具体的な迷惑を被った事情を説明する必要があります。なぜ事務所とすると迷惑なのかが重要です。多くの人が出入りすることで、大騒ぎをしている、ゴミを散らかしている、荷物が通路を塞いでいて改善が見られない、といった具体的な迷惑行為をあわせて用法違反の問題とすべきです。
最近では、派遣型風俗店の待機場所とされているなど、一見分かりにくいながらも用法違反となっている場合も少なくありません。

(3)大家さんに出来ること、立証について
用法違反、無断改築での解約は相手方が争ってくる可能性がありますので、裁判になった場合に備え、その証拠を十分に備えておきたいところです。
証拠とは録音、録画、写真です。例えば、ごみがちらかっていたら、その現場を撮影する、大騒ぎをしていたら録音をする、大家さんが監視カメラをつけるといったことが重要となります。よくわからない人の出入りについても、記録を残したいところです。
なお、暴力団事務所だった場合には、暴力団排除条項の活用により、立退きを求めることが可能です。

                                        以上

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233

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