弁護士の視点で

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和2年6月号》
新型コロナウイルスの影響 破産、民事再生手続きについて

 コロナウイルスの影響は甚大であり、社会に大きな変革を求めています。きっとウイルスに対応するワクチン等や検査薬等も開発されるでしょうが、これまでとは異なる社会様式になることが予測されます。
 長期的にはコロナ前と変わらない状態になるのでしょうが、歓楽街、インバウンド関連の業種は相当に厳しい状況になる可能性があります。
 このような業種の方は、新たなビジネスにチャレンジをされる、あるいは、残念ながら、廃業を検討される方もいるかと思います。
 廃業や業態の変更を検討するときに、負債の問題があります。負債を背負った状態では、なかなか次のビジネスへのチャレンジは難しいものです。
 また、いよいよ厳しい状態になったときに、自分は最悪の場合どうなるのか、という視点を持つことは意味があると思います。

 そこで、今回は破産、民事再生といった手続きを簡単に紹介します。
 破産は、負債をゼロにする手続きです。資産も失うことになりますが、それでも負債をゼロにできます。事業存続の可能性が低く、負債を返済することが不能であれば、破産もやむを得ません。
 デメリットとしては、金融機関の信用情報の問題があり、一般には7年程度は新たな借り入れ等ができないとされています。現金での生活とすれば問題ないのですが、車のローン、最近では携帯電話の契約もローン契約ですので、このようなときに不利益が大きいのが現状です。ただし、携帯電話も最近では格安なキャリアも増えましたし、そこまでの不自由はないと思われます。
 なお、金融機関の信用情報への掲載は、破産でも民事再生でも変わりません。
 一方で、破産ではなく、民事再生を行う例としては、以下の場合があります。

 ・個人破産でも免責が得られない可能性がある(浪費やギャンブルといった事情がある)
 ・自宅を維持したく、住宅ローンの支払いを継続したい
 ・現在の個人事業を継続しながら負債を整理したい

 また、法人の場合であれば、金融負債を圧縮し、今後も事業継続をしたい、といった場合が考えられます。ただし、新たな借り入れは難しいので、一般にはスポンサー企業等がないと実現は困難ではないかと思われます。

 このような手続きは、お金が無いから行うのですが、破産、再生にも費用がかかることをご理解ください。
 手続きの費用は、主に裁判所に納付する費用と依頼する弁護士の費用になります。
 個人の破産、民事再生では、弁護士に支払う費用が30万円程度、裁判所に納付する費用も同程度が相場だと思われます。
 また、法人の場合には、事業規模によりますが、再生の場合が一番費用を要するので、裁判所への納付費用で数百万円を要する場合もあります。弁護士費用もそれと同程度となります。
 法人破産については、法人の破産前の状況により、法人の財産から支出するのが原則です。個人破産よりは費用が高いとお考え下さい。

 気になる場合には、お早目に弁護士に相談をいただき、費用の目安だけでもご確認いただくのがよいと思われます。
 なお、破産や再生で負債はどうにかできます。一方、収入を生むことは出来ませんので、この点は、どうにか頑張っていただかないといけません。

                                                 以上
 本説明は本原稿掲載日(R2.5末)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
                     前へ<<               >>次へ
弁護士の視点でリストに戻る