前回、前々回とサイト売買について紹介させていただきましたが、今回はその続きとして、サイト売買ではどのような契約がなされることが多いのか、留意点を含めてご案内いたします。
1 相手と会わない不安について、商品は引き渡されるのか
サイト売買では、相手と対面しませんので、サイトを購入しようと思っても、この点で不安を感じる方がいるかもしれません。この人は本当にサイトの権利者なのか、という疑義が生じることもあるかと思います。さらにいえば、実在しているのかすら分からないとして、気になる方もいるかもしれません。
通常、サイト売買の仲介をするに際しては、売却希望者、購入希望者は仲介サイトのアカウント登録がなされます。その際に、仲介サイトが本人確認を行っているサイトであれば、なりすまし、あるいは架空の人物というようなことは回避できる可能性が高いと考えます。
次に、サイトを購入しようとしてお金を支払っても、その商品となるサイトの権利移転が実現できなかった、ということでは困ります。
このような場合に備えて、エスクローサービスを利用できることが望ましいです。エスクローサービスとは、仲介会社が代金を預り、売買が問題なかったことを確認した上で(もしくは所定の期限の到来まで)、売主に代金を送金することになります。
例えば、購入して代金を送金したが、全く違うサイトだった、ということであれば、売主への送金停止の措置を執ることができます。
これにより、相応のリスクを低減させることができます。
一方、売主にとっても、仲介者が代金を受領した後にアカウント情報を開示することになるので、買主が代金を支払わないという不安はなくなります。
このように、相手方と会わないとい不安、商品が引き渡されるのか、という点は相応に解消できることになります。
2 交渉はどのように行われるのか?
一般にサイト売買の仲介サイトでは、売主と買主が直接に質問をする、価格交渉を含めた連絡をすることがあります。
チャットあるいはZOOM等で連絡をとるということは珍しくないようです。
ここで気を付けたいのは、直接に連絡を取ることができるからといって、仲介手数料を逃れる目的で、売主と買主がサイト外で契約をする交渉をするということは規約違反になるということです。売主と買主は仲介サイトの手数料を免れるために、直接に契約をしましょうと持ち掛け、売主はサイトの売却掲載を取下げ、直接の売買を成立させることになります。
しかし、仲介サイト運営者からみれば、いきなり交渉途中のサイトの売却が取り消される等の不自然な兆候があり、その後に、そのサイトが売買されたか否かは、調査をすれば分かります。
多くのサイトではこのような行為は禁止事項とされているとともに、違約金の対象となっているはずです。
私が関与しているラッコM&Aでも残念ながら、このような仲介外しは見受けられ、通常の手数料に加え、同額の違約金が生じること、アカウントが停止されることが規約に定められています。
アカウント登録の際には、規約に同意していることが前提となりますので、違約金の発生が免れがたいところです。
私も違約金の請求を行っていますが、利用者の方には、このような愚かな行為は止めて欲しいところです。
ちょっと話がそれましたが、売主と買主の交渉は、チャット等で行われており、さほど不自由はなさそうです。皆様も一度、サイトの購入にチャレンジされてはいかがでしょうか。
以上
次回は、サイト売買の契約書作成の実際をご案内いたします。
本説明は本原稿掲載日(令和4年10月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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