カスタマーハラスメントとは?
1 顧客等の要求の妥当性
厚労省のマニュアルでは「顧客等の要求の内容が妥当性を欠く場合」の例として、以下が挙げられています。
・企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合
・要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合
企業の提供する商品・サービスに瑕疵や提供するサービスに過失がある場合には、顧客側にも企業にクレームをいうことはありえます。これは正当な権利行使となりうるわけです。
実際、社会で問題になっているクレーマーの大半は、企業に何等かの落ち度がある場合がほとんどであり、ここが対応を悩ませるところです。
関連した話題を紹介します。先日、ネットニュースに、概ね以下のような記事がありました。「子供がソフトクリームを買って、食べる時に落としてしまった。店の方に子供が落としたので欲しいと言ったところ、再度料金を請求された」ということを、店のサービスに不満のある様子で伝えるものです。
これは、企業の提供するサービスに瑕疵、過失はありませんし、法的にも、顧客側の責任ですので、再度購入をするのは当然です。もちろん、企業側が配慮をして無償でもう一つ提供されることは否定されません。ただし、これはサービスであり、顧客が請求をするような話ではありません。
このような場合に、当然のように再度のサービスの提供を求めるような行為は、まさに企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合のクレームといえそうです。
2 要求手段、態様が社会通念上不相当な言動
厚労省のマニュアルでは、「要求を実現するための手段・態様が社会痛根城不相当な言動」の例として、要求内容が妥当であっても不相当なもの、要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの、と整理をしています。
要求内容が妥当であっても、カスハラとされる可能性が高いものとして、以下が挙げられています。
・身体的な攻撃、・精神的な攻撃、・威圧的な言動、・土下座の強要、・継続的な執拗な言動、・拘束的な行動、・差別的な言動、性的な言動、従業員個人への攻撃、要求。
最近話題になるのは、従業員が名札をつけなくなるというものです。名前を聞かれるということが個人攻撃につながるということがあり得る、場合によっては個人情報の特定につながるという懸念があるので、もう名札で名前を示さない、ということです。場合によっては名前を名乗るほうが適切な場合もあるかもしれませんが、サービスフロントで業務をされる方の名前の開示は控える流れは止まらないと思います。個人攻撃を控えるためには、そのような対応はやむを得なくなっている状況です。
次回は改めて具体的な事案を検討したいと思います。
以上
本説明は本原稿掲載日(令和6年6月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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