カスタマーハラスメント行為別 顧客への対応例
厚労省のマニュアル26頁には、「ハラスメント行為別:顧客等への対応礼」が示されています。
一般論であり、参考にならないかもしれませんが、紹介をさせていただきます。
1 時間拘束型
長時間にわたり、顧客等が従業員を拘束する。居座りをする、長時間、電話を続ける。
【対応例】対応できない理由を説明し、応じられないことを明確に告げる等の対応を行った後、膠着状態に至ってから一定時間を超える場合、お引き取りを願う、または電話を切る。複数回電話がかかってくる場合には、あらかじめ対応ができる時間を伝えて、それ以上に長い対応はしない。現場対応においては、顧客等が帰らない場合には、毅然とした態度で退去を求める。状況に応じて、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。
長時間の居座り、電話はカスハラの典型例としてあります。こちらに非がないのであれば、最初はある程度の話を聞く必要はあるかもしれません。おそらく、最初の要望に対し、こちらが持ち帰らないといけない点、確認をしなければ対応できない点もあると思います。
そうすると、初回の対応、2回目の対応には一定の時間を確保することは必要になりそうです。私見ですが、私が対応する場合には、初回2時間、2回目1時間30分程度は覚悟しています。
逆に言えば、それぐらいの時間をかけると、もう新しい話は出てこない、同じ話の繰り返しになっていると思われます。
話が終わらない場合には、話し合いをしても無意味だ、ということで退去いただく、あるいは次回に宿題を持ち、次回の面談とする、といった方向性を示す必要があります。
そうなれば、「もう解決は難しいので、当社の見解を書面でご連絡しますので、お引き取りください」「本日は長くなりましたし、確認しなければ回答できない点もありますので、次回〇日〇時に再度、続きをしましょう」といった話をします。ここで「無理な要求をしながら、要求を当方が受け入れるまで退去しない」という態度、例えば、「100万円払わないと居座るぞ」というような話であれば、明らかに不退去罪、業務妨害、強要、脅迫の可能性があります。
そうなると、警察の対応を要する可能性があります。ここで重要なのは、やはり録音、録画です。
警察は連絡をすれば、来て、上記の当社の見解のとおり、当日は解散するように話をされると思われます。
電話の場合にも同様です。1時間ほど経過したような場合、話に進展がない場合には、終わらせることを提案すべきです。また、長時間の電話をするのであれば、会って話をする、代理人から連絡をするということも考えられると思います。
従業員の疲弊の点からも、電話というステージを切り上げるために、代理人弁護士に依頼をしたほうがいいかもしれません。
さらには、暇がある方の迷惑電話パターンもあります。これはもう付き合えないので、早々に警察、弁護士対応にしたほうがいいです。
次回は次の類型について、また検討をしたいと思います。
以上
本説明は本原稿掲載日(令和6年11月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。
回答者 弁護士 小川 剛
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