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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年2月号》
カスタマーハラスメント対策入門11

カスタマーハラスメント行為別 顧客への対応例

 前回の続きとなります。厚労省のマニュアル26頁には、「ハラスメント行為別:顧客等への対応例」が示されています。
 一般論であり、参考にならないかもしれませんが、紹介をさせていただきます。

3 暴言型
  大きな怒鳴り声をあげる、「馬鹿」といった侮辱的発言、人格の否定や名誉を棄損する発言をする。
 【対応例】大声を張り上げる行為は、周囲の迷惑となるため、やめるように求める。侮辱的な発言や名誉棄損、人格を否定する発言に関しては、後で事実確認ができるよう録音し、程度がひどい場合には退去を求める。

 前回、繰り返し、あるいは長時間といった事例の対応について検討しました。
 今回は暴言となります。「繰り返し」「長時間」は繰り返されないと問題となりませんが、罵声、怒号といった暴言については、基本的にはその行為のみで協議の打ち切り理由となりえます。
 もっとも、こちらに相当な落ち度があり、それを怒鳴られることは許容せざるをえない場合もあるでしょうが、相当性のない暴言等は許されません。
 大前提として、クレーム対応をする際には、録音、録画をしておく必要があります。仮に不相当な暴言がなされた場合には、そのような態度はやめるように求めることになります。
 そして、その場を可能であれば中断し、以後は、担当を変えるべきでしょう。担当を変えることが難しければ、「〇〇といった暴言がなされ、当社の担当者が恐怖を感じております」「当社は〇〇弁護士を窓口とすることといたしました」といった対応にシフトせざるをえません。
 もう一つは警察相談です。侮辱罪、名誉棄損に該当して逮捕してくれるかというと実際には簡単ではないと思いますが、恐怖を感じるようであれば警察相談もしたほうがよいと思われます。暴言を超える、さらなる悪質な行為に発展したときに備え事前相談をしておき、110番通報をした際にかけつけてもらえるように要請するということは考えられます。
 警察に相談をする際にも時系列を整理しておくと有効だと思います。

   次回は次の類型について、また検討をしたいと思います。

                                            以上

 本説明は本原稿掲載日(令和7年1月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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