弁護士の視点で

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年3月号》
カスタマーハラスメント対策入門12

カスタマーハラスメント行為別 顧客への対応例

 前回の続きとなります。厚労省のマニュアル26頁には、「ハラスメント行為別:顧客等への対応例」が示されています。
 一般論であり、参考にならないかもしれませんが、紹介をさせていただきます。

  4 暴力型
  殴る、蹴る、たたく、物を投げつける、わざとぶつかってくる等の行為を行う。
 【対応例】行為者から危害が加えられないよう一定の距離を保つ等、対応者の安全確保を優先する。
 また、警備員等と連携を取りながら、複数名で対応し、直ちに警察に通報する。

   前回までは長時間の拘束、暴言といった類型について検討しました。
 今回は暴力となります。暴力については、当方の落ち度は関係ありません。直ちに警察に110番通報をすることになります。
 万が一、暴力が確認された場合にすべきことは、安全の確保、警察への通報、証拠の保全となります。
 動画があればいいのでしょうが、動画がなくても、録音だけでも確保をしたいところです。
 また、室内でなく路上等であれば、もしかしたら防犯カメラが近くにあるかもしれません。
 怪我については、ひどいのであれば救急車を呼ぶようなこともあり得るかもしれませんし、直ちに写真を撮影する、病院での診察を受ける、診断書を受領するなどの対応を要することになります。
 このような事案では、警察に相手が逮捕される可能性もありますし、もう窓口を弁護士にシフトすることが望ましいと考えます。
 会社の落ち度でのクレームがなされている件と、担当者への暴力についてはそれぞれ損害賠償請求権が生じるとしても相殺するような話ではありませんし(担当者への暴力の債権者は担当者本人でしょう)、以後は弁護士が粛々と対応するということになります。
 また暴力案件で示談をするのであれば、二度と接触しないことを合意したいところです。  

   次回は次の類型について、また検討をしたいと思います。

                                            以上

 本説明は本原稿掲載日(令和7年2月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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