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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年9月号》
カスタマーハラスメント対策入門18

カスタマーハラスメント行為別 顧客への対応例

 前回の続きとなります。厚労省のマニュアル26頁以下には、「ハラスメント行為別:顧客等への対応例」が示されています。
 一般論であり、参考にならないかもしれませんが、紹介をさせていただきます。

  9 セクシャルハラスメント型
 従業員の身体に触る、待ち伏せをする、つきまとう等の性的な行動、食事やデートに執拗に誘う、性的な冗談といった性的な内容の発言を行う。
 【対応例】性的な言動に対しては、録音・録画による証拠を残し、被害者及び加害者に事実確認を行い、加害者には警告を行う。執拗なつきまとい、待ち伏せに対しては、施設への出入り禁止を伝え、それでも繰り返す場合には、弁護士への相談や警察への通報等を検討する。

   今回は、セクハラ型のカスハラです。例えば喫茶店でお尻を触られた、というようなものであればわかりやすく犯罪となりますし、警察に通報すればいいいのですが、つきまといのような行動は対応が悩ましい場合もあります。
 例えば、コンビニの店員と顧客が親しく話をするようになる、そのうちにお土産をいただくようになる、といった関係から、帰り時間まで待たれるようになる、といった場合、そのスタッフは当初は特に気にしてないものの、帰り時間に待たれるようになると、恐怖を感じると思います。もっとも、加害者に悪意がある、違法な行為をしているという認識もなく、親しい関係と理解している可能性もあります。
 このような微妙な関係の場合、直ちに警察に連絡しても、警察も事件性があるとまでは判断しにくく、一度、立ち入らないように求めてはいかがかという話をされる可能性が高いのではないかと思われます。
 親しくされているスタッフが働きづらいと感じているのであれば、店長などから「シフト終了時にお待ちいただくのはスタッフの負担になるので控えていただきたい」と説明をするのが望ましいと考えます。
 その上で執拗に誘われるような場合には、明確に出入り禁止等を伝えることになります。
 好意による行動については、セクハラと根本的な相手の考えが違うのでしょうが、エスカレートしないようにするには、そのような対応を執らざるを得ません。従業員の安全第一で行動いただければと思います。  

                                            以上

 本説明は本原稿掲載日(令和7年9月)時点の情報により記載され、適切に更新されていない可能性がありますので、ご注意下さい。

回答者 弁護士 小川 剛
小川・橘法律事務所
810-0041福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル8F
電話092-771-1200 FAX 092-771-1233
HP  http://t-o-law.com/
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