不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和3年5月号》
不動産鑑定を依頼する場合の注意点@

1. はじめに
 不動産鑑定を頻繁に依頼する方は、一部の企業を除くと少数だと思います。そこで、今月と来月は不動産鑑定を依頼する場合の注意点を説明します。
2.鑑定評価書VS調査報告書
 不動産鑑定を依頼する場合、最初に成果品の種類を「鑑定評価書」or「調査報告書」のどちらかを選択する必要が有ります。
 両者の違いは、不動産鑑定評価基準に則っているか否かですが、1箇所でも則っていない場合は、「調査報告書」となります。
 「調査報告書」は、意見書、簡易評価書とも言われ、鑑定費用を低く抑えられるため、依頼されるケースも多いです。しかしながら、注意点としては、@「調査報告書」は原則として内部利用に限定されること、A訴訟目的の場合等は、鑑定の結果が当事者に大きな影響を与えるので、「調査報告書」では対応できないことになっています。
 「調査報告書」は、鑑定評価のルールに基づかないフリースタイルの評価になっていますので、その特性を理解した上で依頼する必要が有ります。
3.依頼内容の確定
 依頼の際には、以下の内容を打合せの上で確定します。実務上は、「価格等調査業務依頼書兼承諾書」及び「業務の目的と範囲等の確定に係る確認書」を取り交わしています。

  依頼内容備 考
@依頼目的「資産評価のため」、「相続財産の評価のため」等
A類型「更地」、「建付地」、「貸家及びその敷地」等
B権利の種類「所有権」、「賃借権」等
C評価の条件現況を所与として評価しますが、例外的に現況と異なる
評価条件を設定して評価を行う場合も有ります。
D価格時点価格を判定した基準となる日で、将来の時点を設定する
ことは原則として認められていません。
E価格の種類原則として正常価格
F所在・地番等評価対象不動産を確定します。

4.最後に
 今月は鑑定評価書と調査報告書の違い等を説明しましたが、次回は鑑定評価に必要な資料等を説明したいと思います。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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