不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年9月号》
賃料評価の基礎知識D

1.はじめに
今回は、不動産鑑定士が求める賃料は原則として実質賃料であることを説明します。

2.実質賃料と支払賃料
一般的に賃料というと毎月支払っている「支払賃料」を想定する場合が多いですが、不動産鑑定評価基準で求める賃料は、原則として「実質賃料」とされます。 「実質賃料」とは、賃貸人に支払われる適正な全ての経済的な対価とされています。一方、「支払賃料」とは各時期に支払われる賃料をいい、敷金、保証金、礼金などの一時金の運用益及び償却額と併せて「実質賃料」を構成します。


実質賃料と支払賃料

3.原則として実質賃料を求めることとされる理由
不動産の適正な経済的価値は、一時金の運用益等を含めた賃料で把握する必要があるため、原則として「実質賃料」を求めることとされていますが、実務上は、各評価手法で求められる賃料が「実質賃料」であることが指摘できます。つまり、積算法、賃貸事例比較法、収益分析法などで求められる賃料は全て「実質賃料」であるため、まずは「実質賃料」ベースで新規賃料や継続賃料を把握することになっているものと考えます。

4.支払賃料の求め方
前記のとおり評価上は、「実質賃料」をまず求めますが、月々の「支払賃料」を求める場合は、以下のように「実質賃料」から一時金の運用益及び償却額を控除して求めます。


実質賃料と支払賃料2
5.最後に
次回も賃料について説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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