不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和4年10月号》
賃料評価の基礎知識E

1.はじめに
賃料を求める鑑定評価の手法について説明します。なお、鑑定評価の手法は新規賃料と継続賃料で異なりますが、今回は新規賃料について説明します。

2.新規賃料を求める手法
新規賃料とは、建物や土地を新規に賃貸借した場合の賃料のことです。
新規賃料の賃料額は、物件の立地条件、建物の階層・位置・スペック、賃貸市場の需給動向などの複合的な要因で決まりますが、不動産鑑定評価基準では、「積算法」、「賃貸事例比較法」、「収益分析法」の三手法を定めています。なお、手法とは、賃料を求めるための計算方法と理解していただいて結構です。


新規賃料の評価手法

3.三手法を適用する理由
一般的に物の価値は、費用性、市場性、収益性の3つの側面から形成されると言われており、不動産の評価においてもこれらの考え方を活用します。
新規賃料の評価では、対象物件の取得費用等を考慮したコストアプローチ(積算法)、賃貸市場における賃料水準や需給動向等の観点からマーケットアプローチ(賃貸事例比較法)、対象物件から生み出される収益面からのインカムアプローチ(収益分析法)などを適用し、物件の特性等を踏まえて、評価額を求めます。
なお、継続賃料を求める手法は、新規賃料の手法と異なりますが、費用性、市場性、収益性の考え方を活用している点は一緒です。


価格の三面性と賃料評価手法の関係
4.最後に
次回は新規賃料の手法である積算法について説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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