不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年2月号》
賃料評価の基礎知識I

1. はじめに
これまで新規賃料を求める三手法を紹介しましたが、今回は、求められた各試算賃料を調整して鑑定評価額を導き出す「試算賃料の調整」を説明します。 2.試算賃料の調整とは
試算賃料とは積算法で求められた積算賃料、賃貸事例比較法で求められた比準賃料、収益分析法で求められた収益賃料のことです。
これらの三つの試算賃料を一つに絞り込んで鑑定評価額(適正な賃料)を求めますが、このプロセスを試算賃料の調整と言います。


資産賃料の算定

鑑定評価額を求めるためには、賃料を一点に絞り込む必要が有りますが、いずれかの試算賃料を100%重視しなければならない訳ではないですし、特定の試算賃料を最初から無視して調整する訳ではありません。求められた各試算賃料は、本来、等しく尊重されるべきものとされています。

3.試算賃料の調整の具体例
試算賃料の調整は、まず、試算賃料の査定プロセスが適切か、信頼性の高い資料を採用しているか、対象不動産の個別性や地域性を反映した試算賃料になっている等の視点で試算賃料を検証します。 次に、最も説得力が高いと判断した賃料を重視して鑑定評価額を決定します。 例えば、賃貸マンションの評価の場合、家賃相場が形成されている場合が多いので、間取りや築年が類似する家賃の成約事例は最も説得力が高いものとして、比準賃料を重視して鑑定評価額を決定します。

4.最後に
次回も賃料の評価について説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
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TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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