不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年6月号》
継続賃料C

1. はじめに
賃料の値上げを目的として鑑定評価を依頼する場合、果たして現行賃料より高い賃料額が算定されるのかという点が最も気になるかと思います。
今回は、継続賃料額が高く求められる要因等を解説します。

2.対象となる期間
継続賃料の評価は、当事者間で現行賃料を合意した時点(直近合意時点と言います)から、価格時点の間に起こったことが重視されます。


時間軸2

3.継続賃料の上昇に繋がる要因
(1)周辺の賃料相場の上昇
周辺の賃料相場が上昇すると、それに連動して対象物件の継続賃料も高くなるというのは、イメージし易いかと思います。
賃料相場が上昇している環境にもかかわらず、テナントの賃料が横這いのままだと、オーナーは機会損失になるので、賃料の値上げを主張する理由になります。
(2)土地価格の上昇
土地価格が上昇した背景には、周辺の利便性や収益性の向上があるものと考えられ、テナントはその恩恵を受けているものとして、賃料の値上げを行う余地が生じます。算定上も、積算賃料が高めに求められるので、賃料差額が大きくなり、継続賃料の上昇に繋がります。
(3)公租公課
土地の固定資産税や都市計画税は、賃貸経営の代表的な経費であるため、賃貸人の負担が増大しているとの主張が出来ます。

4.最後に
継続賃料が高くなるケースを解説しましたが、その他にも一般的な経済指標の推移、テントの売上動向、契約の経緯などの複数の要因を考慮しますので、継続賃料の評価は不動産鑑定士にとって難易度が高い案件になります。
次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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