1. はじめに
今回は、継続賃料を求める手法を解説します。手法とは価格又は賃料を求める計算方法のことで、鑑定評価基準では、不動産の種類に応じて適用する手法が定められています。
2.継続賃料の手法
鑑定評価基準では、継続賃料を求める手法は、「差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法等がある」と規定されています。
不動産の評価は一般的には3手法を適用するケースが多いことを考慮すると、継続賃料は手法の数が多いことが指摘されます。また、継続賃料の代表的な手法である差額配分法は、計算方法が複雑であり、実質的には2手法分ぐらいのボリューム感が認められます。
以下、鑑定評価基準で定められている各手法の意義を紹介します。
3.差額配分法
差額配分法は、対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法です。
4.利回り法
利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法です。
5.スライド法
スライド法は、直近合意時点における純賃料に変動率を乗じて得た額に価格時点における必要諸経費等を加算して試算賃料を求める手法です。なお、直近合意時点における実際実質賃料又は実際支払賃料に即応する適切な変動率が求められる場合には、当該変動率を乗じて得た額を試算賃料として直接求めることができるものとしています。
6.賃貸事例比較法
賃貸事例比較法は、新規賃料に係る賃貸事例比較法に準じて試算賃料を求める手法であり、試算賃料を求めるに当たっては継続賃料固有の価格形成要因の比較を適切に行うことに留意しなければならないと規定されています。
7.最後に
次回も継続賃料を説明します。
回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
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