1. はじめに
今回は、継続賃料を求める手法である差額配分法を解説します。継続賃料を求める手法には主として4手法有りますが、実務上、差額配分法は特に重要な手法です。
2.差額配分法
差額配分法は、「対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額について、契約の内容、契約締結の経緯等を総合的に勘案して、当該差額のうち賃貸人等に帰属する部分を判定して得た額を実際実質賃料又は実際支払賃料に加減して試算賃料を求める手法」と鑑定評価基準で規定されています。
鑑定評価基準は、専門用語を多用し、文章構成も複雑ですので、理解し難いかと思いますので、以下で図解を交えながら簡単にご説明します。
3.賃料差額
差額配分法は、賃料差額を配分して賃料額を求める手法です。
賃料差額とは、「対象不動産の経済価値に即応した適正な実質賃料又は支払賃料と実際実質賃料又は実際支払賃料との間に発生している差額」のことですが、平たく言うと価格時点の適正な賃料(鑑定では「正常賃料」と言います)と現行賃料の差額です。
4.賃料差額の配分方法
賃料差額の配分は、「継続賃料賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、一般的要因の分析及び地域要因の分析により差額発生の要因を広域的に分析し、さらに対象不動産について契約内容及び契約締結の経緯等に関する分析を行うことにより適切に判断する」とされています。
しかしながら、配分基準はやや不明確であるため、配分基準がブラックボックス化しやすいとの指摘もなされます。
5.最後に
次回も継続賃料を説明します。
回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
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