不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年3月号》
継続賃料L

1. はじめに
今回は、特殊な賃貸借契約であるマスターリース契約とサブリース契約について解説します。

2.マスターリースとサブリース
マスターリース契約は、転貸(サブリース)を目的として不動産の所有者から土地や土地・建物を一括で賃貸する契約です。一方、サブリース契約は、マスターリース契約の借主と実際の入居者であるエンドテナントと間で結ばれる転貸借契約です。実務上は、マスターリースのこともサブリースと呼ばれるため両者は混同して使用されますが、本来は別々の賃貸借契約です。


マスターリースとサブリース

3.特徴
マスターリース契約は、エンドテナントの稼働や賃貸状況に連動して賃料を払う方式と定額の賃料を払う賃料保証方式に分かれます。前者は、エンドテナントから収受した賃料等をパススルーでオーナーに支払うので空室リスクや賃料変動リスク等の負担は有りません。一方で後者は空室等のリスクを負担するため、賃料単価は低くなる傾向が強いです。
マスターリース契約が採用される不動産は、大型商業施設、物流施設等の事業用不動産が中心ですが、アパート経営でも見受けられます。


4.賃料増減額請求は認められるか?
マスターリース(サブリース)は借地借家法の賃貸借契約であるか否かは長らく議論されてきましたが、最高裁判例により借地借家法の適用を受ける建物賃貸借とされ、賃料増減額請求が認められました。
アパート建設業者との間で固定賃料のサブリース契約を結んでいるオーナーさんは多いかと思いますが、契約期間中に賃料減額請求により賃料が減額される可能性が有ることに注意が必要です。

5.最後に
次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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