1. はじめに
今回は、継続賃料を求める手法である利回り法について解説します。
2.利回り法とは
利回り法は、基礎価格に継続賃料利回りを乗じて得た額に必要諸経費等を加算して賃料を求める手法です。
例えば、価格時点の基礎価格を100,000,000円、継続賃料利回りを5.0%、必要諸経費等を3,000,000円/年額とすると以下のように賃料が求められます。
利回り法は、直近合意時点における賃貸人と賃借人で合意した利回りを重視しつつ、元本価格(基礎価格)の変動分を反映した適正な賃料を求める手法です。
3.継続賃料利回り
継続賃料利回りは、「直近合意時点における基礎価格に対する純賃料の割合を踏まえ、継続賃料固有の価格形成要因に留意しつつ、期待利回り、契約締結時及びその後の各賃料改定時の利回り、基礎価格の変動の程度、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等における対象不動産と類似の不動産の賃貸借等の事例又は同一需給圏内の代替競争不動産の賃貸借等の事例における利回りを総合的に比較考量して求める」と定められています。
すなわち、直近合意時点における利回りをそのまま採用するのではなく、期待利回りや契約締結時の利回り等も比較考量する必要があります。
4.利回り法の短所
利回り法は、土地・建物等の元本価格の変動を重視する手法であるため、賃料の価格形成要因の変動を必ずしも適切に示している訳でないという指摘があります。このような元本価格と賃料の変動がパラレルではない点については、継続賃料利回りに織り込むことで対処することも可能ですが、裁量の世界になってきますので、試算の精度が低くなるものと考えられます。
5.最後に
次回も継続賃料を説明します。
回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
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