不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年12月号》
継続賃料22

1.はじめに
 今回は、裁判鑑定(第三者鑑定)の結果が出た後の対応について説明します。

2.裁判鑑定とは
 裁判鑑定(第三者鑑定)とは訴訟法に基づく裁判所の命令による鑑定評価のことです。一般の鑑定評価と同じく不動産鑑定評価基準に準拠した鑑定評価ですが、係争中の案件のため、客観性・中立性が重視されます。なお、裁判鑑定(第三者鑑定)を行う不動産鑑定士は裁判所が指定するため、原告及び被告は不動産鑑定士を選ぶことが出来ません。


裁判鑑定までの流れ

3.裁判鑑定の結果に意見するのは可能か?
 裁判鑑定は、前記の通り裁判所が自ら指定した不動産鑑定士による鑑定評価書であるため、その証拠価値は高いものとして、裁判鑑定の評価額がそのまま採用されるケースが多いようです。裁判鑑定を否定することは、自ら選択した不動産鑑定士の能力が足りないことを認めることになるので、裁判所は裁判鑑定を重視します。
 しかしながら、裁判鑑定に指名される不動産鑑定士は、裁判所の競売評価を行っている不動産鑑定士が多く、その能力には幅があると言われています。
 そこで、裁判鑑定において、不動産鑑定評価基準に則っていないと思われる鑑定評価書が提出された場合は、原告及び被告は、必要に応じて「補充鑑定事項」の案を裁判所に提示することが出来ます。裁判所は、原告、被告の案を統合して「補充鑑定事項」を作成して、鑑定人に対して回答を求めることになります。

4.最後に
 次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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