不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年1月号》
継続賃料23

1.はじめに
 今回は、鑑定評価額と消費税の関係について説明します。

2.鑑定評価額は税込みか税抜きか
鑑定評価額と消費税の関係について、鑑定評価基準には記載が有りません。しかしながら、実務上、鑑定評価額は消費税抜きの金額を表示しています。 賃貸マンションを収益還元法で評価する場合、住宅の賃料は非課税のため、賃貸借契約に基づく家賃をそのまま賃貸収入に計上すると、自動的に税抜き額の鑑定評価額が査定されます。一方、店舗や事務所などの事業用不動産の場合、消費税抜きの賃料を賃貸収入として計上しなければなりません。 鑑定評価額が税抜きなのか税込みなのかは、不動産鑑定士以外は分かりづらいですので、「鑑定評価額は税抜き額である」旨を評価書に記載した方が良いかもしれません。

3.家賃と消費税
新規賃料や継続賃料についても、査定される鑑定評価額(賃料額)は税抜額です。 したがって、店舗や事務所の賃料額が税込みで表示されている場合、消費税を含まない賃料額に修正して、鑑定を行う必要があります。以下は、事務所の家賃が税込み110,000円/月の場合、消費税抜きの家賃に修正する計算方法です。


計算式

4.消費税の課税対象か否か判別が難しい場合
住宅の家賃は原則として消費税が課されませんが、老人ホームの場合は、一部課税対象となる見解もあるようです。具体的には、老人ホームは、住宅の貸付に該当する部分は非課税であるのに対して、役務の提供に該当する部分は課税対象になるという見解があります。したがって、老人ホームを評価する場合は、税務当局や税理士さんに課税対象か否かを確認する必要があります。

5.最後に
 次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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