不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年2月号》
継続賃料24

1.はじめに
 今回は、賃料改定の特約について説明します。

2.賃料改定の特約とは
 不動産の賃貸借契約のなかには、改定時に賃料を自動的に増減する仕組みを取り決めている場合があります。賃料の増減額請求は交渉が煩雑で費用も嵩み、合意に至る期間も長期に渡る場合が多いため、賃料の変動を特定の指標に連動させ、賃貸当事者間の負担を軽減しています。

3.賃料改定の特約で使用される指標は
 賃料改定特約の指標は、客観性と公平性を有するものが望ましいと思われます。
 賃貸借契約において、よく使用される指標として、「消費者物価指数(CPI)」が挙げられます。CPIとは、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するものです。現在(2025年1月)は、CPIの上昇と不動産価格の上昇が同時に起こっているため、ある程度有効と言えますが、過去においては、デフレ下にもかかわらず不動産価格が上昇していた時期もあるため、一長一短がある指標です。
 また、ホテル等の事業用不動産の場合、賃料の変動を売上と連動する特約が巻かれているケースが有ります。これは、テナントの売上が高まれば、賃料支払余力も増大するため、賃貸人にも売り上げ増大の利益を配分するというものです。アフターコロナにおいては、ホテルの賃貸借契約は、このような売上連動型のものが主流になってきました。

4.最後に
 次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
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