不動産鑑定士の仕事

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和7年11月号》
継続賃料33

1.はじめに
訪日外国人観光客の増加を背景に、大都市圏の地価上昇が顕著になってきました。今回は、令和7年の地価公示の動向を踏まえて、地価の上昇が継続賃料に与える影響を考えます。

2.福岡市の令和7年の地価公示
地価公示とは、適正な地価の形成に寄与するため国土交通省が公表しているもので、一般の土地取引の目安となるものです。
令和7年地価公示における、福岡市の商業地の平均上昇率は、前年比+11.3%を記録し、主要都市の中で全国3位となっています。令和6年まで4年連続トップであったため、相対的に順位を落としていますが、訪日外国人観光客の増加やビジネス都市としての集積性の高まりによって、依然として顕著な地価上昇が見られます。


21大都市の令和7年地価公示
福岡市の地価公示の1u当たりの価格は、東京都区部、大阪市に次ぐ3位の高価格帯に位置付けられますが、その高い価格から大きく伸びているのが特徴です。

日本人宿泊者数の推移

3.地価の上昇が継続賃料に与える影響
 賃料の増減額請求を行うためには、直近合意時点から価格時点の間において、賃料が不相当となる「事情変更」が生じていることが必要です。元本(不動産自体)と果実(賃料)の関係から、土地価格の変動は、原則として「事情変更」に該当します。
ただし、不動産の賃料には、「遅効性」という特徴があるため、土地価格が大きく上昇しても、賃料も同じように上昇する訳ではないことに留意が必要です。

4.最後に
 次回も継続賃料を説明します。

回答者 不動産鑑定士 佐々木 哲
佐々木不動産鑑定事務所
不動産鑑定士 佐々木 哲
〒810-0004 福岡市中央区渡辺通2-6-20 ラクレイス薬院203
TEL092-791-1873 FAX092-791-1893
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