【初めに】
皆様こんにちわ。今回は10月1日から施行されることになった「年金確保支援法」についてご紹介します。この法律は、現在と将来の無年金・低年金の発生を防止し、国民の高齢期における所得の確保をより一層支援する観点から定められた平成27年9月30日までの時限立法です。
【年金確保支援法】
内容は、年金をもらうための25年(国民年金、厚生年金、共済年金どういう組み合わせでもいいのですが、合計して原則25年ないと年金は1円ももらえません)の資格がない人で、平成14年10月以降60歳までの期間のうち未納期間がある人は、国民年金を払って、年金をもらう資格を満たせますよというものです。
現状では、免除申請をしていた方は直近10年以内の分は払えますが、そうでない場合は直近2年以内の分しか払えないのです。ですから、3年より前の分は利息がつきますが、過去10年以内の分を払うことで、一人でも無年金者を減らしたいという国の意向です。
もうすでに手続きの予約は8月から始まっていますので、早々と年金事務所で手続きを済ませた方もいらっしゃいます。ただ、問題はまとまった国民年金保険料が払えるかどうかと払った場合、はたしていくらもらえるかがみなさん一番気になるところです。
たとえば、現在の資格が国民年金のみで15年、直近10年間がすべて未納だった場合、利息を入れたら200万円以上払わないといけないことになります。そうしてもらえる金額が、65歳までに払ったとしても年間50万円弱です。この金額の受け止め方は人それぞれで、4〜5年生きたら取り戻すから得と考えるか、とてもじゃないが払えないからあきらめると考えるかはさまざまです。
しかし、加入歴の中に厚生年金が含まれている方は要注意です。
【Aさんの例】
先日もこんな方の相談がありました。
65歳の単身者の男性Aさん。厚生年金15年、国民年金5年の加入歴があります。あと5年分約100万円弱を支払ったら、払ってしまった日に資格ができて、翌月分から年金がもらえます。さすがに100万円は払えないこともないけど、大金ですと言われました。
もらえる金額ですが、厚生年金部分はAさんがもらっていた給料の平均とかけた年数で決まります。若いときあまり給料は高くなかったとしても、1年加入して男性だったら2〜3万円になります。
厚生年金15年間で1年間あたり30〜45万円になります。国民年金は25年加入して年間50万円弱です。Aさんが100万円を一括で払ってしまったら、老齢基礎年金と老齢厚生年金がその翌月から一生涯にわたって年間80〜95万円になるのです。支払いが遅れれば遅れるほど、その分の金額がみすみす失われることになるのです。
Aさんがためらっていた理由がもう一つあります。現在の法律では受給資格が25年ですが、数年後に10年になる可能性があるのです。そのことを知っているので、今100万円を払うより、法律改正を待って、現在の加入歴だけで受給したほうが得だと思われているようなのです。現在の加入歴だけだと、厚生年金部分はおなじ30〜45万円、国民年金部分が20年になりますので年間40万円弱です。金額の差は年間で10万円位ですが、あくまで数年後の施行予定ですからそれまでは無年金のままです。
100万円の保険料を払って受給権を確保してすぐもらい始めるのか、貯金はとり崩さず、しばらく無年金のリスクを取るのか、皆さんだったらどちらを選択しますか?
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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