【初めに】
すっかり秋も深まり、もう初冬といった雰囲気の今日この頃です。
紅葉を愛でる間もなく、シコシコ仕事に駆けずり回っている私ですが、今日は夫婦のありようで違ってくる年金のお話しをさせていただきます。
皆様には年に1度、誕生日月に日本年金機構から「ねんきん定期便」が送られてきています。
そこに載っているのは、ご自身一人一人の加入歴や年金額だけです。ところが、年金をもらうときには、夫婦の加入歴や年の差によってもらえたり、もらえなかったりする年金があるのです。
理解しやすいように、事例をあげます。
【1の例】
夫 会社員40年 60歳(昭和27年生まれ)
妻 結婚前OL8年 55歳(昭和32年生まれ)
このご夫婦には、夫が65歳になった時から70歳(妻65歳)になるまで、加給年金という名の配偶者手当が(年間393,200円)夫の厚生年金に加算されます。
そして、妻には65歳から一生涯、妻の老齢基礎年金に39,100円(平成24年度価格)が加算されるのです。(振替加算をもらえる人の生年月日で金額は違います)
【2の例】
夫 自営業 国民年金40年加入 65歳(昭和22年生まれ)
妻 公務員 共済年金30年 60歳
このご夫婦には、妻が65歳になったときに夫が70歳ですから、その時から夫の老齢基礎年金に年間99,600円が上乗せされます。
【3の例】
夫 会社員40年 60歳
妻 会社員35年 60歳
共稼ぎであれば、二人とも一人前の年金がもらえる人といった扱いになり、配偶者手当である加給年金と振替加算はもらえません。
【4の例】
夫 会社員40年 60歳
妻 会社員22年 40歳
このケースでは、夫が65歳から妻が65歳になるまでの20年間、夫の厚生年金に加給年金がつき続けます。
【加給年金がつくための条件】
ここで加給年金がつく条件を整理してみます。
≪加給年金がつくための条件≫
○本人は、厚生年金か共済年金20年以上加入
○相手は20年ないこと
○原則65歳からつき、相手が65歳になるまでです
○相手の年収850万円未満
加給年金がつくのは夫でも妻でもOKです。配偶者が65歳になれば、加給年金は消滅し、相手にその一部が振替加算としてつきます。
【4の例】のケースで20年間もらえる理由は、妻に受給権という年金をもらえる権利がまだ発生していないからです。「権利発生の時20年以上ないこと」なので、大丈夫なのです。こういうことを皆様に申し上げると、いつも男性から若い奥さんをもらっとけばよかったという声が発せられます。確かに約40万円×20年=800万円ですから大きいですね。
このほかにも、加給年金・振替加算に関して、えーっ!というような場合がいろいろあり、そこが年金の興味深いところであり、難しいものとなっている所以です。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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