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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成25年10月号》
ねんきん定期便のチェックポイント

 日本年金機構から国民年金と厚生年金の被保険者(加入している人)に、年1回誕生日月にねんきん定期便が送付されています。今日はこの定期便の見方についてお話します。
公務員(共済の組合員)や私学共済(私立学校の教職員)のみの方には、機構から定期便は送られてきません。
60歳以降年金をもらいながら、働いている(厚生年金に加入しての勤務)方には定期便が来ます。
通常はハガキ形式で前13か月間の被保険者期間の状態と、50歳以上であれば受給権発生時の年金見込み額が載っていますので、まちがいがないか確認をされるだけで結構です。
節目年齢と言われる35歳・45歳・59歳には、A4サイズの水色の封筒に入った非常に詳しい資料が送られてきます。個人の情報として第1級の資料です。日頃年金相談を通じてこの定期便を多く見ていますが、その方が歩まれてきた人生そのものが映し出されたものだなと強く感じています。

 注意して見ていただきたいところ2か所について説明します。
まず見込み額の欄です。50歳未満の方は、これまで払った加入実績に対してもらえる金額といった表示になっています。50歳以上の方は、作成時点の加入制度に引き続き60歳になるまで加入したとして試算されています。ですから、現在会社員の方が60歳前に仕事を辞めたら、報酬比例部分と老齢厚生年金の金額は少なくなります。
また、逆の質問なのですが、「現在これくらいもらえるのであれば、60歳まであと数年あるからもっと増えるでしょう?」と言われます。答えはNOです。上に波線を引いたように現在の加入制度に60歳まで入ったとしての見込み額ですから、ここ数年分の将来分が含まれているわけです。
ただ、受給開始年齢が61歳の方が、60歳以降1年働けば報酬比例部分が年1〜3万円増えます。
次にたとえば今年60歳になる女性は、25年の資格があれば60歳で報酬比例部分がもらえ、64歳で定額部分が自動的に増えます。65歳で報酬比例部分は老齢厚生年金に変わり、定額部分は老齢基礎年金に変わります。国民年金に加入した期間があれば65歳から定額部分と一緒に老齢基礎年金としてもらえます。
このように60歳で手続きを一度すれば、段階的に年金が出てくる仕組みとなっています。
ですが、60歳でたとえば報酬比例部分が年額30万円、64歳で定額部分が年額50万円、65歳で老齢基礎と老齢厚生で年額100万円となっていれば、65歳が一番高いのね、じゃあ65歳で手続きをするわという風に理解している方がいます。
60歳で手続きをすればずっと30万円、64歳で手続きをすればずっと50万円ではありません。あくまでも年金の権利が発生したら(その方の生年月日に応じた受給権発生時)手続きをしてもなんら問題はありません。

 次に2つ目のポイント「年金加入履歴」について説明します。
加入制度が厚生年金であれば会社名、資格所得日、資格喪失日を確認してください。
例えば4月1日から働いたのに取得日が7月1日となっていると言われるケースがあります。法律上は4月1日取得でしょうが、会社側は試用期間中の為入れていないと言われます。保険料を払っていなければ(給料から厚生年金保険料が引かれていなければ)この3か月は残念ながら認められません。
転職を繰り返している男性に多く見受けられるのですが、途中空いている期間がありますとの表示があれば、本当にどこかで働いたことがないかよく思い出してください。機構も本人の記録ではないかと該当者に手紙を送っていますが、返信がないためまだ宙に浮いたままのも多数あります。1ヶ月でも見つかれば資格となり、いずれは年金額となりますので、効果は大きいです。
「厚生年金基金加入期間」の表示がある場合も、年金機構とは別に東京の企業年金連合会に請求すればもらえますので忘れないようにしてください。知らないで請求していない方がたくさんいらっしゃいます。
加入制度が国民年金であれば、加入月数欄の月数全部が納付月数ではありませんので、注意してください。一番下の国民年金被保険者期間における未納月数欄に数字が載っていたらその期間は払っていないことになります。 3号被保険者(2号被保険者の被扶養配偶者)だった方の記録の誤りは多いので、気になる場合は年金事務所で確認してください。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
HP http://hreiko-office.com/
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